第3回 アート×アート×アート
<能×現代音楽×ファッション>
能オペラ Nopera AOI

-日本の伝統と最先端クリエーションとの出会い-

2015年12月14日(月)

19:00開演(18:30開場)

全席指定6,000円(税込)

音楽を中心とした異分野コラボレーションで知的好奇心を刺激するシリーズ「アート×アート×アート」。シリーズ第3回は、「能」「現代音楽」「ファッション」の新たな試みを行うコラボレーションです。
今回出演するのは、世界の作曲家による委嘱作品を初演してきた能アーティスト・青木涼子
第1部はその委嘱作品より能の謡の作品3曲をお届けいたします。青木の謡、そして奏者には独創的な世界観が常に高い評価を得ている打楽器の池上英樹、東京フィルハーモニー交響楽団首席フルート奏者の斎藤和志が登場いたします。
第2部では、2016年にパリで初演予定のフランス在住の気鋭作曲家・馬場法子による≪Nopera AOI葵上≫の一部を世界初演いたします。衣装は日本人として初めて2015年LVMHプライズにノミネートされるなど、今世界から注目を集めているwrittenafterwards(リトゥンアフターワーズ)の山縣良和が手がけます。
各分野の一流の芸術家による前代未聞の一夜限りのコラボレーションは見逃せません。

[出演]

青木涼子(能アーティスト)
池上英樹(打楽器)
斎藤和志(フルート)

馬場法子(作曲)

山縣良和(ファッションデザイナー)

[プログラム]

[第1部]

フェデリコ・ガルデッラ:
「風の声」for Noh voice and bass flute(2012)

ストラティス・ミナカキス:
「ApoploysⅡホメロス時代の破片」for Noh voice,flute and percussion(2013)

ヴァソス・ニコラウ:
「マクベス 5.1」for Noh voice,flute and percussion(2013)

[第2部]

馬場法子:≪Nopera AOI葵上≫より (世界初演)

<第1部>

●フェデリコ・ガルデッラ:
  「風の声」for Noh voice and bass flute(2012)

謡とは、日本の舞台芸術である能の声楽部分を指す。この曲では、謡の部分は、世阿弥の手による『井筒』の最終部分を構成し直して用いている。私はこの謡を貴重かつはかない花のような存在と捉え、その特質を守ることのできるような風景で取り囲もうと考えた。実際、バス・フルートは、三つの角度から謡へアプローチする役割を担い(非動物界から声の反映へ)、それはこの花を愛でるための三つの方法を表す。私は古い謡の言語体系と現代奏法の関係を成り立たせるべく、どのような共通項があるか探し、一見遠く隔たっているように思われる二つの音世界の深い近似性を際立たせることのできる原型的な音型に行きついたのである。(フェデリコ・ガルデッラ)

フェデリコ・ガルデッラ Federico Gardella
1979年イタリア・ミラノ生まれ。ミラノ音楽院でアレッサンドロ・ソルビアティのもとで学び、作曲の修士号を得、ローマのサンタ・チェチリア国立アカデミーでアツィオ・コルギに師事した。ブランアン・ファーニホウと細川俊夫との出会いが彼の芸術的成長にとりわけ大きく寄与した。彼の作品は、フェスティバル・ミラノ・ムジカ、ロワイヨモンの新しい声、マッジョ・フィオレンティーノ音楽祭、MITO9月音楽祭、ヴェニス・ビエンナーレ、ローマ・パルコ・デラ・ムジカ音楽堂などで演奏されている。2009年武生国際作曲賞受賞。12年武満徹作曲賞第1位受賞。ミラノのEdizioni Suvini Zerboniから作品が出版されている。

●ストラティス・ミナカキス:
  「ApoploysⅡホメロス時代の破片」for Noh voice,flute and percussion(2013)

「apoploys」というギリシャ語の言葉は、前へ舟を走らせるという意味である。「ApoploysⅡ」は、オデュッセウスが家に向かう航海に関する作品の第2作品目である。テキストはオデュッセイアーの11番目の本のネキュイアから抜粋した。オデュッセウスはイタケーへの帰郷に関してのテイレシアスの神託を受けるため、キルケの島から冥界へ出発する。この「いろんな種類の旅行」において、オデュッセウスはいろんなものに出会う。例えば、彼がトロイアに立てこもっていたときに、死んだ彼の母親の霊にも会う。この会話の最後に、彼は彼女の霊を3回つなぎ止めようと試みるが、彼女は「影や夢のように」消えてしまう。「ApoploysⅡ」は、この瞬間、不在の物事の幻想を再現したものである。「ApoploysⅡ」では、他の私の作品と同じように、原始的な声を模索した。声は深く身体に根ざしており、西洋のオペラのような様式化されたフィルターを通すことなく、最も深い感情を発する声である。それは、ヤニス・クセナキスの「カッサンドラ」のように強く能の影響を受けている。私は、能謡の深い響きは、ギリシャ悲劇の特性と関連していると想像する。

ストラティス・ミナカキス Stratis Minakakis
1979年生まれ。地元ギリシャとアメリカ、フランスにて作曲、音楽理論、ピアノ演奏を学ぶ。彼の作品はソロ曲、室内楽、オーケストラアンサンブル曲と多岐に及ぶ。作品はPRISMサクソフォンカルテットやアルディッティ弦楽四重奏団、ストックホルム・サクソフォンカルテット、アンサンブル・カウンター、アンサンブルI/O、アテネ現代音楽アンサンブル、プリンストン大学などの時代を先駆ける団体やアンサンブルグループによって演奏されたり、新曲を委嘱されたりしている。学術分野や芸術分野で多くの賞を受賞。AggeloiⅡは武生国際音楽祭において2010年武生国際作曲賞を受賞した。また、音楽理論の分野ではヨーロッパやアメリカで講義を行い、またミルトン・バビット、エリオット・カーター、ジョルジュ・リゲティ、ギリシャの前衛音楽について記事を出版している。指揮者としては、現代音楽作曲家による室内楽やシンフォニーアンサンブルの新曲を初演している。 現在、マサチューセッツ州ボストンのニューイングランド音楽院音楽理論科の教授である。

●ヴァソス・ニコラウ:
  「マクベス 5.1」for Noh voice,flute and percussion(2013)

ウィリアム・シェイクスピアの悲劇「マクベス」は、陰謀と歪んだ愛、罪、後悔、歪んだ現実を主題に扱っている。私の作品は夢遊病におかされたマクベス夫人の独白に焦点を当てている。侍医と侍女の二人の登場人物もまた歪んだ声で話す。

ヴァソス・ニコラウ Vassos Nicolaou
1971年、ギリシャ、キプロス共和国生まれ。
現在は作曲家としてドイツ・ケルンを拠点に活動。ピアノ、音楽理論、音楽学、作曲法、電子音楽、管弦楽(編曲)法を、テッサロニキ大学、ケルン音楽大学、フランクフルト大学、パリ国立高等音楽院、そしてIRCAMにて学ぶ。2005年ケルン市よりベルント・アロイス・ツィンマーマン賞を受賞。06年にインターナショナル・アンサンブル・モデルン・アカデミー(IEMA)の奨学生として参加。07年にカールスルーエZKMのギガ・ヘルツ賞を受賞。09年にはトーキョーワンダーサイトのレジデンスプログラムで日本に滞在した。彼の作品は、ロンドンシンフォニエッタ、アンサンブル・モデルン、アンサンブル・アンテルコンタンポラン、ムジークファブリックなど現代アンサンブルグループ、またタマラ・ステファノヴィチ、ピエール=ローラン・エマールなどの著名な音楽家たちによって演奏されている。

<第2部>

≪Nopera AOI葵上≫

能舞台に於ける様々な動作は、その一つ一つがとても僅かな動きである故に気にも留めない観客も数多い。このプロジェクトはその微細な動きに焦点を当てるものであり、能舞台に於ける演者の所作・ジェスチャーが、特殊な素材のコスチュームと出会う事により生まれる様々な音の現象を用いて全く新しい能オペラを制作するものである。演者によって発生する衣擦れの音、すり足の音、扇の音、それらは日本の鬼才デザイナー・山縣良和の創造を身に纏う事で完成される。視覚にも存在感を与えるその衣装は、「音」という第三次元を手に入れる事になる。能役者・青木涼子が山縣の衣装をまとい、即興性の一切無い作曲者により厳密に書かれたリズムを暗譜で体現する。テキストは、世阿弥が「源氏物語」葵の巻のストーリーに従いながら、生霊となるほどの激情を抱える六条御息所の内面世界を描き出した「葵上」を元に、作曲者本人が手がける。(作曲家・馬場法子)

~あらすじ~
朱雀院の御代、左大臣家では息女の葵上が物の怪に憑かれ重態である。物の怪の正体を知ろうと、梓弓の音で霊を呼ぶ「梓の法」の名手照日の巫女が招かれた。その法に掛けられて姿を見せたのは、六条御息所の怨霊である。御息所は皇太子妃の昔を偲ばせる高貴な姿をしているが、恋人光源氏の正妻である葵上への嫉妬に駆られ、後妻打ち(正妻が若い妾を憎んで打つこと)をする。思い乱れる御息所は、葵上の命を奪いかねない激しさを見せ、破れ車に乗って姿を消す。急ぎ偉大な法力を持つ修験者横川の小聖が呼ばれる。小聖が加持祈祷すると、御息所の心に巣食っている嫉妬の気持ちが形となった鬼女が現れ、小聖に襲いかかるが、激しい戦いの末祈り伏せられて、御息所は成仏がかなう身となる。(檜書店、三宅晶子)

音楽:馬場法子
衣装:山縣良和
原作:紫式部「源氏物語」 第九帖 「葵」
テキスト:世阿弥・馬場法子
六条御息所の生霊と鬼女:青木涼子

[プロフィール]

青木涼子(能アーティスト) Ryoko Aoki, Noh artist

東京芸術大学音楽学部邦楽科能楽専攻卒業(観世流シテ方専攻)。同大学院音楽研究科修士課程修了。ロンドン大学博士課程修了(Ph.D取得)。平成26年度文化庁新進芸術家海外研修員。湯浅譲二、一柳慧、ペーテル・エトヴェシュ、細川俊夫、アルディッティ弦楽四重奏団など、世界の主要な現代音楽の作曲家、音楽家と共同で、能と現代音楽の新たな試みを行っている。今までにドイツのミュンヘン室内管弦楽団、ZKM、ベルリンAsia-Pacific Weeksフェスティバル、ベルリン高等研究所、ベルリン自由大学、ボン大学、ハンガリーのバルトーク・フェスティバル、CAFe BUDAPEST、フランスのパリ国立高等音楽学院、イタリアのローマ日本文化会館、ヴィラ・メディチ、スペインのマドリッドとビルバオのBBVA財団、アメリカのカリフォルニア州立大学、ニューヨークのクセナキス・フェスティバル、神奈川県芸術文化財団主催アートコンプレックス、京都国際舞台芸術祭、武生国際音楽祭に招待され、パフォーマンスを行った。2010年より世界の作曲家に委嘱するシリーズを主催しており、14年にはデビューアルバム「能×現代音楽」(ALCD-98)をリリースした。その活動は、国内外のテレビ、ラジオ、雑誌、新聞の各種メディアに多数取り上げられている。また世界的なオペラ・ハウスへの出演も果たしており、13年マドリッド、テアトロ・レアル王立劇場にジェラール・モルティエのキャスティングのもと、ヴォルフガング・リーム作曲オペラ《メキシコの征服》(ピエール・オーディ演出)のマリンチェ役でデビュー、各紙で絶賛された。平成27年度文化庁の文化交流使としてヨーロッパで活動を行う予定である。


(C)Hiroaki Seo

池上英樹(打楽器) Hideki Ikegami, percussion

8歳からジャズドラム、ロックドラムを始め、様々なジャンルのバンドで演奏。その後クラシックと出会い、その世界に衝撃を受けてパーカッション、マリンバを学び始める。大阪教育大学を経て、1997年パリ国立高等音楽院(CNSM)、パリ国立音楽院(CNR)へ留学。97年第46回ミュンヘン国際音楽コンクールで最高位入賞。その後ドイツ・カールスルーエ音楽大学で学ぶ。99年第16回日本管打楽器コンクール打楽器部門第2位入賞。2004年度青山音楽賞、05年度文化庁芸術祭賞音楽部門新人賞を受賞。1997年より、パリ日本年記念公演、ベルリン室内楽フェスティバル、ミュンヘンJazz and Moreフェスティバル、ケルンフィルハーモニーでのコンサートなどのフェスティバル、現代音楽祭に招かれ公演。ヨーロッパ各地での演奏活動の後、演奏活動を一時休止し、打楽器を一から学びなおす。オペラ歌手、ピアニスト、ヴァイオリニストに教えを受け、ベルカント唱法を応用したテクニックを基盤とし始める。04年4月 リサイタル「Performance!!」で日本デビュー(東京FMホール)、06年6月 佐渡裕指揮、東京都交響楽団定期演奏会・石井眞木作曲「アフロ・コンチェルト」を演奏。07、08年8月 バレエとのコラボレーション「真夏の夜の夢」を音楽構成、芝居にも参加。08年5月 東京フィルハーモニー交響楽団と「ラプソディー・イン・ブルー」をマリンバで演奏。06、09年8月 シエナ・ウインド・オーケストラ全国ツアーにソリストとして参加。09年 三軒茶屋サロンテッセラにおいて年5回のシリーズを企画・演奏。10年2月 独自のプログラムによる「メロディアスマリンバ」公演(浜離宮朝日ホール)。11年4月 テレビ朝日「題名のない音楽会」に<パーカッショニスト池上英樹登場>が放送。12年8月サントリーサマーフェスティバル・クセナキス「オレステイア」に打楽器ソロで出演(サントリーホール)。13年4月 東京・春・音楽祭にて全曲バッハリサイタルを開催。14年3、8、10、11月 ソロパフォーマンス<モザイク>を発表(浜離宮朝日ホール、茨木市クリエイトセンター、水戸芸術館ほか)。その他ラフォルジュルネジャポン、東京春音楽祭、仙台クラシックフェスティバル、サントリーサマーフェスティバル、富士山河口湖音楽祭、軽井沢音楽祭等にそれぞれ数回出演している。コンチェルトでは東京フィル、アンサンブル金沢、東京都交響楽団等と共演している。山梨滞在期間に、町の人々との交流を目的として始めた自宅を開放したコンサート(西湖芸術の家コンサート)やワークショップを企画実施、バスツアーも組まれるほどの好評を博す。また、その活動がドキュメンタリー番組や24時間テレビなどで放送される。マリンバでは、古今の名曲からジャズ、現代音楽に至るまで縦横無尽なレパートリーを持ち、打楽器の即興演奏、ダンスとのコラボレーション、音楽するカラダと題したワークショップなど常に新しい打楽器の可能性を模索、追求している。7年前より始めたフラメンコの影響で、ジプシー(ロマ)音楽に魅せられ、近年多くの楽曲を編曲、演奏。最近はオリジナルの作品を創作し始め、14年より<モザイク>と題した、演奏と身体表現を融合した一人舞台を発表。さらに独創的な舞台を目指している。

斎藤和志(フルート) Kazushi Saito, flute

福島県郡山市出身。東京芸術大学附属高校を経て同大学器楽科卒業、同大学院修了。2001年第5回神戸国際フルートコンクール第4位、第70回日本音楽コンクール第1位及び加藤賞、E・ナカミチ賞受賞。1999年第4回びわ湖国際フルートコンクール第1位。これまでに、パウル・マイゼン、金昌国、佐久間由美子、中川昌巳、中野富雄、三上明子、山崎成美の各氏に師事。現在、東京フィルハーモニー交響楽団首席奏者、「NOZZLES」「The flute quartett」メンバー。現代音楽の演奏にも力を注いでおり、現代音楽演奏グループ「東京シンフォニエッタ」では副代表を務め、国際的に高い評価を得ている。99年の第68回日本音楽コンクールでは作曲部門本選における演奏に対し審査員特別賞を受賞した。作曲・編曲も行い、即興演奏も含め、従来の枠にとらわれない多彩な活動を展開中。2006年度アリオン音楽財団奨励賞受賞。東京芸術大学、国立音楽大学、洗足音楽大学で後進の指導にもあたっている。

馬場法子(作曲) Noriko Baba, composer

新潟生まれ、パリ在住。東京芸術大学音楽学部作曲科卒業、同大学院作曲専攻修了。パリ国立高等音楽院にて作曲、オーケストレーション、分析、音響学、民族音楽学を学ぶ。オーケストレーション科、及び作曲科を最優秀の一等賞にて卒業。2003年度フランス国立音響音楽研究所(通称IRCAM)研究員、ロワイヨモン財団招聘。秋吉台国際芸術村、SACEM(フランス・著作権協会)から奨学金を得る他、アカデミー・シュロス・ソリチュードのアーティスト・イン・レジデンス・プログラムに招聘されドイツに1年滞在、フランス学士院・フランス教育省の芸術家派遣に選出され、カサ・デ・ヴェラスケス(スペイン)に2年滞在する。又フランス外務省のアーティスト・イン・レジデンス「ヴィラ九条山」派遣に日本人として初めて選出され、京都に滞在。日本音楽コンクール作曲部門2位、フランス学士院Georges Wildenstein賞受賞、11年武生国際作曲賞受賞。作品はAgora、Die Reich、Archipel、World Music Day、ISCM、Musica、Paris de la musique、Milano Musica、Biennale di Veneziaなど様々なフェスティバルにて、世界各国のアンサンブルに委嘱・演奏されている。アンテルコンタンポランによって演奏された「Pororoca」はミシェル・フォランによって映像化され、ARTEにて放映されている。


(C)Kyoko NAGASHIMA

山縣良和(ファッションデザイナー) Yoshikazu Yamagata, fashion designer

2005年 セントラルセントマーチンズ美術学校卒業。ジョン・ガリアーノのデザインアシスタントを務めた後、帰国。インターナショナルコンペティション ITS#three Italy にて3部門受賞。07年 リトゥンアフターワーズ設立。08年9月より東京コレクション参加。09年 オランダアーネムモードビエンナーレにてオープニングファッションショーを行う。11年 オーストラリア、オーストリアにてファッションショーを行う。12年 日本ファッションエディターズクラブ新人賞受賞。14年 ベーシックラインwritten byを発表、毎日ファッション大賞・特別賞を受賞。また、ファッション表現の実験、学びの場として、「ここのがっこう」を主宰。

制作協力:株式会社オカムラ&カンパニー

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Hakuju Hallチケットセンター 電話:03-5478-8700

DM会員先行発売 4月25日(土)~
一般発売 5月9日(土)~