原支配人による公演レビュー

2023年09月03日 (日)

【原支配人による公演レビュー】
2023年8月9日(水) The 4 Players Tokyo 第3回

2020年4月に第1回を予定していましたが延期せざるを得ず、さらに同年6月の振替公演も延期となり、2021年4月にようやくスタートしたThe 4 Players Tokyo(以下、T4PT)の演奏会が3回目を迎えました。T4PTは、指揮者の藤岡幸夫さんが司会として出演する音楽番組「エンター・ザ・ミュージック」(BSテレ東 毎週土曜 朝8:30-)から誕生した弦楽四重奏団です。
藤岡マエストロの考えを意訳すると、弦楽四重奏曲は交響曲の最大公約数のようなものなのでもっと演奏機会を増やさないといけない、◯◯四重奏団や◯◯カルテットという名前にこだわらずかっこいい名前にする、最高のメンバーを指名し番組と共にT4PTを育てていく、ということです。藤岡マエストロから「テレビだけでなく生の演奏会をやりたいけど原君、主催してくれるホールがないんだよねー。」と目の前で頼まれ応諾した途端、私の後ろに回って肩を揉んでくださいながら「ごめんごめん。俺に頼まれたら断れないよね〜」と決まった企画です。「エンター・ザ・ミュージック」は全国放送、また300席のハクジュに加え1,200席の杉並公会堂の大ホールでも年1回の公演が決まり、テレビからもホールからも声がかかる人気カルテットに成長しました。弦楽四重奏団は若い頃に友人同士で結成したり、ベテランの方がイベントのためだけに結成したりすることが多いですが、T4PTは年齢も所属オーケストラも違う中で相性・力量をはかりながら活動しています。こんなカルテットは他にないのではと思います。
今回は演奏機会の少ない名曲を取り上げるという事で、シベリウスの弦楽四重奏曲「親愛なる声」がメインでした。それに組み合わせたのは、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲 第1番とプロコフィエフの弦楽四重奏曲 第2番という、マニアックで演奏機会は少ないかもしれませんが素晴らしい曲です。随分思い切った選曲でしたが、チケットは完売になりました。一流の奏者たちが数年をかけて何度も本番を積み重ねていることもあり、凄まじい集中力とアンサンブルでした。素人耳ですが、間違いなく表現が精緻になっています。今回も「エンター・ザ・ミュージック」のカメラが入っていたので、放送されるのが楽しみです。
11月の杉並公会堂ではハイドンのラルゴ、ベートーヴェンのセリオーソ、シューベルトのロザムンデが演奏される予定です。杉並では有名な曲、ハクジュでは攻め込んだ曲と、東京で年2回行われる演奏会の役割分担が定まったようです。カルテットの成長を感じ、今後の展望も見えてきた1日でした。終演後、舞台上でのトークセッションでヴィオラの中村洋乃理さんが「来年もやりたい」とお話され、藤岡マエストロが「支配人の原さん、来年もやってくれるんだよね!」と叫ばれたので、客席から立ち上がり○のポーズを取らせていただきました。来年もハクジュホールで開催しますので、ぜひいらしてください。よろしくお願いいたします。

2023年8月9日(水) The 4 Players Tokyo 第3回 19:00開演

[出演]
The 4 Players Tokyo
戸澤哲夫(ヴァイオリン) 遠藤香奈子(ヴァイオリン)
中村洋乃理(ヴィオラ) 矢口里菜子(チェロ)

藤岡幸夫(司会 / 指揮者・The 4 Players Tokyo プロデューサー)


[プログラム]

D.ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲 第1番 ハ長調 op.49
S.プロコフィエフ:弦楽四重奏曲 第2番 ヘ長調 op.92
J.シベリウス:弦楽四重奏曲 ニ短調 op.56 「親愛なる声」

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