原支配人による公演レビュー

2022年08月24日 (水)
【原支配人による公演レビュー】
2022年7月26日(火) 第166回 リクライニング・コンサート 廣津留すみれ ヴァイオリン・リサイタル

ヴァイオリンの廣津留すみれさんは大分の県立高校からハーバード大学に進学、その後修士ではジュリアード音楽院卒業。共に首席という天才で、卒業後はアメリカで音楽活動や音楽家のプロデュース等のお仕事をなさっていました。2020年にアメリカを一旦離れ、日本での音楽活動の傍ら、テレビ出演や大学での講義、ゲームミュージックの録音、執筆等本当に多彩な活動をされています。「羽鳥慎一モーニングショー」の金曜日コメンテーターや、「サンデー・ジャポン」「徹子の部屋」等の番組出演と、メディアを通して文化人として認知されているだけでなく、成蹊大学の客員講師や秋田にある国際教養大学の特任准教授を務め、教育者としてのキャリアも築かれています。
「クラシック業界の方は様々な国や時代の音楽を取り上げたいのに、アイディアや人脈が足りないためにクラシックの世界に留まることが多い。」廣津留さんが日本に拠点を移して間もない頃、次のステップに進みたいという思いがある中でこのようなお話しをする機会がありました。本職はヴァイオリニストでありながら多彩な活動をされている廣津留さん。「リクライニング・コンサート」に出演されたらどのようなアプローチをなさるのだろうという期待感でオファーしました。演奏技術が卓越しているため、ご自身の講演会後のミニコンサートだけでなく、ハクジュ主催のリサイタルでがっつり演奏できることを世の中に示したいという思いもありました。
お出し頂いたテーマは「~アメリカとパリの夏の夜空を眺めて~」。映画「ムーンライト」の音楽に始まり、ドビュッシーの「月の光」で終わるプログラムで、ガーシュウィンの歌劇「ポーギーとベス」のアメリカ音楽とドビュッシーの「ヴァイオリン・ソナタ」の間に、ヒラリー・ハーンの初演曲のみを録音したCDから2曲と、映画音楽、コンテンポラリー、クラシックが一つのテーマに則って表現されるという、こちらが嬉しくなるような意図がふんだんに取り入れられた選曲でした。廣津留さんが最も信頼を寄せているピアニストの河野紘子さんとの息もぴったり。静と動が散りばめられたプログラムで、時間があっという間に感じました。
普段から講演をされていらっしゃるからなのか、人を惹きつけるようなトークが楽しく、笑いも起きていました。「徹子の部屋」の収録直後でしたので、番組で共演なさったお母様とのエピソードもありました。
アイディアや広がりに溢れる演奏会でしたので、また違った形でご出演頂けたらと思います。

2022年7月26日(火) 第166回 リクライニング・コンサート 廣津留すみれ ヴァイオリン・リサイタル15:00/19:30開演
[出演]
廣津留すみれ(ヴァイオリン)
河野紘子(ピアノ)
[プログラム]
N.ブリテル:映画「ムーンライト」より “地球の真ん中”
G.ガーシュウィン(J.ハイフェッツ編):歌劇「ポーギーとベス」より
 “サマータイム”
 “うちの人は逝ってしまった”
 “そんなことはどうでもいいさ”
 “ベスよ、お前はおれのもの”
 “ブルースのテンポで”
M.リヒター:Mercy(慰撫)
大島ミチル:メモリーズ
C.ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ
C.ドビュッシー:「ベルガマスク組曲」より 第3曲 “月の光”

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