TRAGIC TRILOGYトラジック・トリロジー I

「椿姫」

登場人物の心理描写で名作オペラの核心に迫る

全席指定7,000円(税込)
「椿姫」
(c)北山宏一

声楽にふさわしい音響空間として定評があるHakuju Hallが、名作オペラの魅力をギュッと凝縮してお届けする新シリーズを始めます。題して「TRAGIC TRILOGY」(トラジック・トリロジー)、つまり「悲劇三部作」。イタリアオペラの代表作品から、ヒロインが悲劇的な最期を遂げるヴェルディの「椿姫」、プッチーニの「トスカ」と「蝶々夫人」を選び、1年に1本ずつ上演していきます。オペラをホームに活躍を続ける田尾下哲が演出と脚本を手掛け、単なる名場面集にとどめず、作品の原作の設定をいかし、新たな視点から大胆に構成しなおして、名作の核心をお客様にお届けします。また指揮者の園田隆一郎が音楽面での構成を行い、音楽監督だけでなく、本番のピアノでも出演いたします。歌い手にはソプラノの青木エマ、テノールの城宏憲、バリトンの大西宇宙の新世代を代表する人気声楽家がシリーズ全作品を通して主役を演じます。三作品それぞれで多彩な能力を発揮し、ホールを音楽による劇空間に創り変えます。第1回はあらゆるオペラの中でも一、二の人気を誇る「椿姫」です。

出演

[演出/脚本]
田尾下哲

[出演]
園田隆一郎(音楽監督/ピアノ)

青木エマ(ヴィオレッタ・ヴァレリー : ソプラノ)
城宏憲(アルフレード・ジェルモン : テノール)
大西宇宙(ジョルジュ・ジェルモン : バリトン)

プログラム

ヴェルディ : 歌劇「椿姫」

プロフィール

田尾下哲(演出/脚本) Tetsu Taoshita, director /dialogue by

1972年兵庫生まれ、横浜育ち。第20回五島記念文化賞オペラ新人賞受賞。ドイツ人演出家ミヒャエル・ハンペに西洋演劇、演出を学ぶ。2000年から演出家として活動。03年から09年まで新国立劇場に所属し、オペラ・チーフ演出スタッフを務めた。09年、チューリヒ歌劇場『カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師』で、共同演出・振付を担当しヨーロッパデビュー。近年の演出作はオペラでは、日生劇場『ルチア』、共同オペラ『カルメン』、神奈川県民ホール『金閣寺』、あいちトリエンナーレ『蝶々夫人』、二期会『カヴァレリア/道化師』、一柳慧作曲『ハーメルンの笛吹き男』、宮川彬良作曲『ブラック・ジャック』、ミュージカルでは、宮川彬良作曲『ナイン・テイルズ』、ホリプロ『ボニー&クライド』、芝居では、平幹二朗主演『王女メディア』、『ダンガンロンパ THE STAGE 2016』、『プライヴェート・リハーサル』、『ベアトリーチェ・チェンチの肖像』、ノンバーバルショー京都SUSHI劇場、歌舞伎『雪蛍恋乃滝』などがある。今後もオペラ、ミュージカル、芝居の演出の他、海外での劇作が控えている。

田尾下哲
© 福里幸夫

園田隆一郎(音楽監督/ピアノ) Ryuichiro Sonoda, music director / piano

2006年、シエナのキジアーナ夏季音楽週間『トスカ』を指揮してデビュー。翌年、藤原歌劇団『ラ・ボエーム』を指揮して日本デビューを果たす。同年夏にはペーザロのロッシーニ・オペラ・フェスティヴァル『ランスへの旅』を指揮し、その後もカターニアのベッリーニ大劇場、ボローニャ歌劇場、トリエステ歌劇場、ジェノヴァ歌劇場、フランダース・オペラ、読売日本響、東京フィル、新日本フィル、京都市響、大阪フィル、大阪響、関西フィルなど、国内外のオペラへの出演やオーケストラとの共演を重ねている。19年は、日生劇場『トスカ』、藤原歌劇団『ランスへの旅』、広島交響楽団演奏会当に出演。自ら芸術監督を務める藤沢市民オペラでのロッシーニ『湖上の美人』(演奏会形式)は、日本初演を大成功に導き絶賛された。20年は、NHKナゴヤニューイヤーコンサート2020、日本オペラ協会 歌劇『紅天女』(世界初演)、日本センチュリー響演奏会をはじめ、東京文化会館オペラBOX『アマールと夜の訪問者』、日フィルサンデーコンサート、新国立劇場 高校生のためのオペラ鑑賞教室・関西公演『魔笛』等に出演を予定しており、オペラと交響曲の両分野で活躍する指揮者の一人である。東京藝術大学音楽学部指揮科、同大学大学院を修了。遠藤雅古、佐藤功太郎、ジェイムズ・ロックハートの各氏に師事。その後、イタリア、シエナのキジアーナ音楽院にてジャンルイジ・ジェルメッティ氏に師事。02年よりローマに留学。ペーザロでロッシーニの権威アルベルト・ゼッダ氏に師事したのをきっかけに、ヨーロッパ各地で数々の作品を学ぶ。04年シエナ・ロータリークラブ カルロ・コルシーニ音楽賞、05年第16回五島記念文化賞オペラ新人賞、2017年度第16回齋藤秀雄メモリアル基金賞を受賞。藤沢市民オペラ芸術監督。

園田隆一郎
© Fabio Parenzan

青木エマ(ソプラノ) Emma Aoki, soprano

国立音楽大学声楽学科卒業。二期会オペラ研修所51期マスタークラス修了。修了時に優秀賞受賞。第24回ソレイユ新人コンクール入賞、第12回日本演奏家コンクール最高位受賞。2013年東京二期会『こうもり』でオルロフスキーに抜擢され、颯爽とした舞台姿と堅実な歌唱で大きな注目を集める。その後も東京二期会『ドン・カルロ』テバルド、同『チャールダーシュの女王』シュターズィ、『フィガロの結婚』(宮本亞門演出)ケルビーノ、再び『こうもり』(A・ホモキ演出)オルロフスキーと立て続けに出演。また、西本智実プロデュース『蝶々夫人』ではタイトルロールを京都南座、新橋演舞場で演じ、恵まれた容姿に加え抒情性に満ちた演唱で好評を博した他、『トスカ』、『ラ・ボエーム』、『カルメン』の各タイトルロール、『カルメン』ミカエラ役等で観客を魅了。広い音域とクラシックバレエの素養を活かしたダンスシーンにも定評があり、ヒロイン役、ズボン役いずれにおいても高い評価を得ている。コンサートでも「第九」等のソリストとして主要オーケストラと共演しており、『オペラ座の怪人』や『レ・ミゼラブル』などミュージカルの分野にも携わるなど、今後益々の活躍が期待されている。二期会会員。

青木エマ
©  北山宏一

城宏憲(テノール) Hironori Jo, tenor

東京藝術大学卒業。新国立劇場オペラ研修所修了。平成22年度文化庁新進芸術家海外研修制度にてイタリアへ留学。サイトウ・キネン・フェスティバル松本20周年記念スペシャルコンサートを機に帰国し、ベートーヴェン「合唱幻想曲」テノール第一ソロを務める。リリコ・スピントの声質とドラマティックな演技を持ち味に、帰国直後から『ラ・ボエーム』ロドルフォ、『トゥーランドット』カラフ等を歌う。2016年東京二期会『イル・トロヴァトーレ』で急遽代役として表題役のマンリーコを歌い二期会デビュー。17年同『トスカ』にカヴァラドッシで出演し、NHKにて全曲放送される。その後も18年グランドオペラ共同制作『アイーダ』(A.バッティストーニ指揮)ラダメス、19年グランドオペラ共同制作『カルメン』ドン・ホセ、20年東京二期会『椿姫』アルフレードなどで高い評価を得ている。コンサートでも「第九」等でソリストを務め、テレビ朝日「題名のない音楽会」にも出演するなど活動の幅を広げている。第84回日本音楽コンクール声楽部門第1位並びに岩谷賞(聴衆賞)受賞、第42回イタリア声楽コンコルソ、シエナ大賞、平成28年度岐阜県芸術文化奨励賞受賞、2017年第8回静岡国際オペラコンクール三浦環特別賞を受賞。二期会会員。

城宏憲
©  北山宏一

大西宇宙(バリトン) Takaoki Onishi, baritone

2019年8月セイジ・オザワ松本フェスティバル(OMF)のオペラ「エフゲニー・オネーギン」にてタイトルロールの代役を務め、日本でのオペラ公演デビュー。同年9月にはP.ヤルヴィ指揮NHK交響楽団オペラ「フィデリオ」(演奏会形式)に出演、20年11月には鈴木優人プロデュースオペラ「リナルド」(演奏会形式)に代役出演し、いずれも好評を博した。海外では、19年1月ノースカロライナ歌劇場の「カルメン」、20年には「道化師」(シルヴィオ役)に出演し絶賛された。また、19年2月にはカーネギーホールにてニューヨーク・オラトリオ協会主催のシベリウス「クレルヴォ」交響曲のソリストを務め、20年3月には「ドイツ・レクイエム」で出演。今後も国内外での活躍が期待される。武蔵野音楽大学及び大学院卒業。第30回五島記念文化賞 オペラ新人賞、第30回日本製鉄音楽賞フレッシュアーティスト賞を受賞。全日本学生音楽コンクール第一位およびイタリア声楽コンコルソ金賞・バリトン特賞を受賞後、IFACジュリアード音楽院声楽オーディションにて最優秀賞を受賞し、日本人としては数少ない声楽専攻生としてジュリアード音楽院に入学。卒業時には在学中の活躍を讃えられ、特別賞と奨学金を付与された。この他、イタリアやドイツ、スイスのアカデミーなどでも研鑽を積む。

大西宇宙
© 北山宏一

協力:朝日カルチャーセンター新宿教室