渡辺玲子 プロデュース
レクチャーコンサート vol.6 知る、聴く、喜び ~時代を彩る名曲とともに~

ブラームス晩年の交流 ~グリーグとドヴォルジャーク、そしてブラームス「最後のソナタ」

2020年10月30日(金)

19:00開演(18:30開場) 【公演中止】

全席指定4,000円(税込)

【延期公演】

2021年10月29日(金)

19:00開演(18:30開場)

知的好奇心を刺激する、体が “知る、聴く、喜ぶ” 新体験!世界的ヴァイオリニスト・渡辺玲子によるレクチャーコンサート。楽譜に記された音符、音型、調性―その背景には、作曲家が意図した隠されたメッセージがあるはず?!一見難しいと感じるようなクラシックの名曲の数々を、ピアニスト江口玲とともに紐解いていきます。
今回は晩年のブラームスに焦点を当てて、演奏とレクチャーとで迫ります。齢60に近づき、一時期創作力の衰えを痛感していたブラームスは、いくつかのきっかけで、創作力を回復。以後63歳で世を去るまでの晩年に、現在でも頻繁に取り上げられる珠玉の作品群を残すことになりました。公演ではそうした作品の一つとしてブラームス本人の晩年のヴァイオリン・ソナタをメインに据える一方、晩年のブラームスと親交が深かったドヴォルジャークとグリーグという二人の民族主義的作風を持つ後輩作曲家が、同じ1887年に作曲したヴァイオリン音楽屈指の名作を紹介します。
特にご注目していただきたいのがブラームスのヴァイオリン・ソナタ(op.120-1)。この作品はクラリネット版、ヴィオラ版としてよく知られ、頻繁に演奏されていますが、実はブラームス本人によるヴァイオリン版の楽譜も出版されているのです。ヴァイオリン版で演奏されることは極めて稀有ですので、今回は貴重な機会となるでしょう。
このシリーズは、世界的なヴィルトゥオーゾとしての演奏活動だけでなく、秋田市にある国際教養大学特任教授として、音楽を専攻しない学生も対象にして英語による集中講義を行うという独自な活動も注目されている彼女だからできるもの。ピアノのヴィルトゥオーゾ江口玲による聴きごたえある演奏とともにお楽しみください。

[出演]

渡辺玲子(ヴァイオリン)
江口玲(ピアノ)

[プログラム]

グリーグ:ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ハ短調 op.45
Grieg : Sonata for Violin and Piano No.3 in c minor op.45

ドヴォルジャーク:4つのロマンティックな小品 op.75
Dvořák : 4 Romantic Pieces op.75

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ へ短調 op.120-1
Brahms : Sonata for Violin and Piano in f minor op.120-1

[プロフィール]

渡辺玲子(ヴァイオリン) Reiko Watanabe, violin

渡辺玲子は、超絶的なテクニック、玲瓏で知的な音楽性、切れ味鋭い官能性とその広いレパートリーで日本のみならず世界のヴァイオリン界をリードする逸材である。第50回日本音楽コンクールにおいて最年少優勝(15歳)、同時に第1回増沢賞(全部門を合わせて最も優れたものに与えられる賞)を受賞。その翌年にNHK交響楽団と共演して衝撃的なデビューを飾った。その後も1984年ヴィオッティ、86年にパガニーニ両国際コンクールで最高位を受賞。85年からは、ジュリアード音楽院に全額奨学生として留学し、92年に学士と修士を取得。ニューヨークを本拠地として、オーケストラとの共演、リサイタル、音楽祭への参加と国際舞台で目覚ましく活躍している。これまで共演したオーケストラとして、ワシントン・ナショナル響、ロサンゼルス・フィル、セントルイス響、ヴァンクーヴァー響、フィルハーモニア管、BBC響、ウィーン・トーンキュンストラー管、ロシア・ナショナル管、サンクトペテルブルク響、バンベルク響、武漢響などがあげられる。また、日本フィルのヨーロッパ・ツアー、東響のアメリカ・ツアー、香港フィルの中国ツアーにソリストとして同行している。近年は、ダンス・カンパニー「Noism」とケネディ・センターなどでたびたび共演するなどダンス、バレエとのコラボレーションも積極的に行う。レコーディングも活発に行っており、ジュゼッペ・シノーポリ指揮ドレスデン・シュターツカペレと共演したベルクのヴァイオリン協奏曲でCDデビューを飾って以来、多数CD録音を行なっている。最新CDは2019年にリリースした「poetry」。また、演奏活動の傍らラジオ番組「渡辺玲子の弓語り」のパーソナリティーを務めたり、深い洞察力に裏付けられたレクチャーと演奏の企画「青少年のためのレクチャーコンサート」「大人のためのレクチャーコンサート」が注目を集めるなど、音楽の魅力を広く伝える活動にも取り組んでいる。東京生まれ、松井宏中、鈴木共子、田中千香士、堀正文、大谷康子、海野義雄の各氏に師事、その後アメリカに渡り、J.フックス、J.ラタイナー、F.ガリミア、S.ローズ、I.スターンの各氏に師事、他にN.ミルシテイン、J.ギンゴールドのマスタークラスも受講している。05年、第35回エクソン・モービル音楽賞奨励賞受賞。18年には世界で活躍する女性に与えられる「リコグニション・アウォード 2018」を受賞。国際教養大学特任教授。


(C)Yuji Hori

江口玲(ピアノ) Akira Eguchi, piano

「非凡なる芸術性、円熟、知性」(ニューヨーク・タイムズ紙)と評される江口玲はソリスト、室内楽奏者、チェンバロ奏者として世界中の聴衆と批評家たちを魅了してきた。ニューヨーク・タイムズ紙からは「流暢かつ清廉なるピアニスト」と賞賛され、これまでにカーネギーホール、92丁目のYMHA、ワシントンDCのケネディーセンター、ウィーンのムジークフェライン、ロンドンのバービカンセンター、パリのシャンゼリゼ劇場等でも演奏している。その抜きんでた演奏は、ホワイトハウスにて故アイザック・スターン氏によりクリントン大統領に紹介された。アメリカ、アジア、ヨーロッパ諸国等、今まで演奏で訪れた国は25カ国に及ぶ。室内楽の分野でも、ギル・シャハム、ジャック・ズーン、渡辺玲子、竹澤恭子、アン・アキコ・マイヤース等、数多くのヴァイオリニスト達から絶大なる信頼を得て、共演を重ねている。レコーディングにおける活躍も目覚ましく、ドイツグラモフォン、フィリップス、DENON、IDVC、マーキークラシックス、ビクター、ヴァンガード、BMG、佼成出版、NYS CLASSICS等から30枚以上のCDをリリース。最新作は2019年6月に発売された、ラフマニノフの前奏曲などをおさめた「ラフマニノフ」。レコード芸術19年9月号の特選盤に選出された。東京に生まれ、東京藝大附属音楽高校を経て東京藝術大学音楽学部作曲科を卒業、その後同校にて助手を務めた後、ジュリアード音楽院のピアノ科大学院修士課程、及びプロフェッショナルスタディーを修了。ピアノをハーバート・ステッシン、外山準、金沢明子、伴奏法を故サミュエル・サンダース、作曲を佐藤眞、北村昭、物部一郎の各氏に師事。11年5月までニューヨーク市立大学ブルックリン校にて教鞭を執る。洗足学園音楽大学大学院の客員教授、東京藝術大学ピアノ科教授。現在もニューヨークと日本を行き来して演奏活動を行っている。


(C)小林邦寿

メッセージ

ブラームス晩年の交流
~グリーグとドヴォルジャーク、
そしてブラームス「最後のソナタ」


レクチャーコンサート・シリーズ第6弾は、1)晩年のブラームス 2)晩年のブラームスと親交の深かった二人の作曲家グリーグとドヴォルジャーク、この2つの軸でプログラムを組んでみました。
1891年58歳のブラームスは、創作力の衰えを感じ、自身の死をも意識しはじめます。作曲活動からの引退を決意し身辺整理を開始、遺書をしたため、友人のジムロックに託しますが、そんな矢先、マイニンゲンで素晴らしいクラリネット奏者、ミュールフェルトと出会い、新たなインスピレーションを得ます。そこから、クラリネット五重奏曲、クラリネット三重奏曲、そしてクラリネット・ソナタなどの晩年の名作を次々と生み出していきます。1894年に書かれた作品120の2曲のクラリネット・ソナタは、ヴィオラ・ソナタとしても有名ですが、実はブラームスによって、ヴァイオリン用にも書きかえられているのです。
彼のヴァイオリン・ソナタは1888年までに書かれた有名な3曲が存在しますが、1894年に書かれたブラームス「最後のソナタ」である作品120は、作曲家自身の編曲にも関わらず、ヴァイオリン版が演奏される機会はほとんどありません。晩年のブラームスの到達した深い精神性を味わうのにふさわしい作品の一つであり、今回のコンサートは生演奏で聴いていただく希少な機会といえるでしょう。

第2の軸として、晩年のブラームスと深く関わりのあった2人の作曲家、ノルウェーのグリーグと、チェコのドヴォルジャークの作品を取り上げます。
グリーグは、ライプツィヒで何度かブラームスに会い、1896年には病気のブラームスをウィーンに訪ねています。ドヴォルジャークは、彼の才能を高く評価したブラームスが出版社ジムロックに紹介、1878年「スラヴ舞曲集」を発表して一躍人気作曲家となりますが、ブラームスを尊敬し、晩年も親しく交流を続けました。1896年3月ウィーンで開かれたグリーグの演奏会では、ブラームスとドヴォルジャークは同席しています。このような音楽史的な俯瞰と共に、晩年のブラームスを巡る音楽の旅を楽しんでいただくコンサートにしようと考えています。

今回も、レクチャー&演奏のパートナーはジュリアード時代から共演を重ねているピアニストの江口玲さん。室内楽ピアニストとして国際的に活躍し、また作曲家としての一面も持つ江口さんの楽曲に向き合う姿勢はいつも新鮮で、一緒に創り上げていくことが今から楽しみです。
Hakuju Hallの素晴らしい音響とサロン的な雰囲気の中、レクチャーだけでなく演奏も本格的に楽しんでいただけるコンサートとして、音楽の持つエネルギーやメッセージを多面的に味わっていただける機会にできたらと思います。

皆様のご来場をお待ちしております。

渡辺玲子