原田英代 ピアノ・リサイタル 第4回 <統一> 全5回

国際的に活躍する真の実力派ピアニストが贈る “人間ドラマと音楽”

2020年3月17日(火)

19:00開演(18:30開場)

全席指定4,500円(税込)

(「原田英代 レクチャー」は3/13(金)19:00開始 会場:(株)白寿生科学研究所 本社ビル2階・大研修室で行います。)

ロシアの巨匠メルジャーノフの薫陶を受け、ジュネーブ国際コンクール最高位、シューベルト国際ピアノコンクール優勝など輝かしい受賞歴を誇り、ドイツを拠点に欧州で活躍を続けるロシア・ピアニズムの継承者、原田英代。
「この小柄で華奢な日本人ピアニストは本当に見事な “野獣の手” を持つのではないかと思わせた」と現地の新聞が評するように、繊細でありながらも壮大なスケールと豊かなドラマ性をあわせもつ原田が、その演奏で “人間ドラマと音楽” をたどる人気シリーズ。第4回は「統一」をテーマに、ロシア音楽の発展に深いかかわりを持つドイツ音楽からはベートーヴェン、シューマンの作品を、そしてロシア音楽からはチャイコフスキー、ラフマニノフの作品を取り上げます。

[出演]

原田英代(ピアノ)

[プログラム]

第4回 <統一>

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調 op.110
Beethoven : Sonata for Piano No.31 in A♭ major op.110

シューマン:ダヴィッド同盟舞曲集 op.6
Schumann : Davidsbündlertänze op.6

チャイコフスキー: 組曲「四季」 op.37bより
“1月 炉端にて” “2月 謝肉祭” “4月 松雪草” “6月 舟歌” 
“8月 収穫の歌” “10月 秋の歌”
Tchaikovsky :  from ‘Les Saisons (The Seasons)’ op.37b
“January: By The Fireside” “February: Carnaval” 
“April: Snowdrop” “June: Barcarolle” “August: The Harvest” “October: Autumn Song”

ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 op.36
Rachmaninov : Sonata for Piano No.2 in b♭ minor op.36

[プロフィール]

原田英代(ピアノ) Hideyo Harada, piano

井口愛子、弘中孝の各氏に師事し、東京藝術大学および同大学院にて松浦豊明氏に師事。その後渡欧し、シュトゥットガルト国立音楽大学とウィーン国立音楽大学で学び、モスクワ音楽院のヴィクトール・メルジャーノフ教授の下で研鑚を積む。1984年ジュネーヴ国際コンクール最高位、91年シューベルト国際ピアノ・コンクール第1位、93年モスクワにおける第1回ラフマニノフ国際ピアノ・コンクールで旧西側参加者の中で唯一入賞を果たす。これまでに、NHK響、読売日響、日本フィル、新日本フィル、広島響、スイス・ロマンド管、WDRケルン放響、南西ドイツ・フィル、ジョルジュ・エネスコ・フィル、チェコ・ナショナル響など、世界各地のオーケストラと共演し、マルチェロ・ヴィオッティ、クリスティアン・アルミンク、ウラディーミル・ヴァーレック、尾高忠明、小泉和裕、円光寺雅彦、本名徹二などの指揮者と共演。また室内楽では、ボロディン弦楽四重奏団、堀正文、ラティツァ・ホンダ=ローゼンベルク、ミハイル・シモニアン(ヴァイオリン)、イェンス=ペーター・マインツ(チェロ)、ローマン・トレーケル(バリトン)等と共演している。また、ラインガウ、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン、ベートーヴェン、ルートヴィクスブルク、メクレンブルク・フォアポンメルン等、ドイツの主要音楽祭に定期的に出演するほか、ドイツを代表する俳優たちとの朗読付きコンサートを開催し、ヨーロッパの各地で高い評価を獲得している。特にドイツ演劇界の最高峰と謳われる大女優コリンナ・ハールフォーフとの共演は「強力なデュオ」と讃えられている。
2003年より〈シューベルト・チクルス(全10回)〉を、12年には〈連続演奏会「作曲家の絆」〉を開催。ピアノ独奏、室内楽、歌曲などの幅広いジャンルの作品を網羅したプログラムを展開し、朝日新聞において、ボロディン弦楽四重奏団との公演で「とてつもないピアニスト」と称され絶賛された。録音はアウディーテ・レーベルより、「グリーグ:抒情小曲集より」、「チャイコフスキー:「四季」、ラフマニノフ:コレルリの主題による変奏曲」、「シューマン:幻想曲 ハ長調/クライスレリアーナ/アラベスク」、「シューベルト:さすらい人幻想曲/ピアノ・ソナタ 第21番」、フォンテックより「プレイズ・ショパン&スクリャービン」、ディヴォックスより「シューベルト/リスト/J.S.バッハ/フェインベルク/間宮芳生:ピアノ作品集」等、CDを多数リリース。イギリスの「グラモフォン」誌で推薦盤、ドイツの「フォノ・フォーラム」誌で〈今月の星〉、日本の「レコード芸術」誌で特選盤に選ばれるなど、世界各国のクラシック音楽雑誌や新聞各紙でも高い評価を獲得している。12年には、明治神宮にて行われた明治天皇百年祭にて奉納演奏を行い、大きな話題となった。99年中国電力協賛第5回エネルギア音楽賞、01年山口県芸術文化振興奨励賞受賞。01~05年、秋吉台音楽ゼミナールの音楽監督を務めた。近年は国際コンクールの審査員を務めるほか、ドイツとギリシャでマスタークラスを定期的に開催している。14年、みすず書房より初となる著書「ロシア・ピアニズムの贈り物」を出版。ロシア・ピアニズムの継承者としてレクチャーコンサートにも精力的に取り組んでおり、深い見識と身体論を交えた独自の音楽論を展開し注目されている。ベルリン在住。


(C)Uwe Arens

オンライン予約

Hakuju Hallチケットセンター 電話:03-5478-8700

10:00~18:00
火~土(祝日・休館日を除く)

【DM会員先行発売】
9月21日(土)~9月27日(金)
※日・月・祝日 休み
※DM会員限定まとめ割もあります。
 詳細はお問合せください。

【一般発売】
9月28日(土)~

[公演テーマ]

第1回 「さすらい」 2017年3月 (終了)
第2回 「葛藤」 2018年3月 (終了)
第3回 「変容」 2019年3月 (終了)
第4回 「統一」2020年3月17日(火)開催
第5回 「光」 2021年3月開催予定

メッセージ

ドイツ音楽とロシア音楽で綴る『人生ドラマ』第4回目のテーマは「統一」です。
ベートーヴェンは1812年以降、経済的にも精神的にも行きづまり、霊感の枯渇した停滞期に入りましたが、それを乗り越えた彼の作風は大きな変貌を遂げました。ソナタ形式においては、二つの主題が葛藤を繰り返すことによって何かを生成するよりも、主題が展開していく過程が大切になっていきます。ベートーヴェンが、“人生が何かを獲得するもの”という視点から逸れるようになったのは、インド哲学書『バガヴァッド・ギーター』の影響でしょう。神への信愛によって神と一体化することを学んだベートーヴェンからは新たな書法で書かれた作品が生まれていきます。中でも特に “愛” に重きを置いたのがソナタ第31番です。

シューマンの『ダヴィッド同盟舞曲』は、人間に潜む二面性を強調した作品です。ダヴィッド同盟とはシューマンが考え出した架空の団体の名ですが、クララとの結婚を彼女の父ヴィークに猛反対されても決して諦めなかったシューマンが、やがて二人に訪れるであろう結婚式を幻想の中で思い描き、その前夜に同盟員が集まって賑やかに意見を交わしている様子を作曲しました。シューマンは、明朗快活なフロレスタンと冷静沈着なオイゼビウスという相反する性格の二人に自分を投影して作品を書きました。9曲ずつの2巻からなる『ダヴィッド同盟舞曲』の各々の曲には、「F」(フロレスタン)か「E」(オイゼビウス)のサインがあります。この「動」と「静」の二面性こそシューマンの特徴であり、それによって複雑な人間の心理を表現していました。異なる性格が同等に存在しながら統一性を保っているのは、執着心を離れた理想的な統一と言えるでしょう。

チャイコフスキーもラフマニノフもシューマンから多大な影響を受けました。チャイコフスキーはロシア音楽と西欧音楽の統合を図り、ロシアの精神の活かされた作品を世界に広めることに貢献しましたが、当時の彼の苦悩は計り知れませんでした。ロシアでは西欧かぶれと言われ、西欧ではロシア的すぎると批判されたためです。しかし、音楽学理の教育原理は西欧のそれと同じであるべきと主張したチャイコフスキーは、普遍的な芸術を残しました。依頼を受けて作曲された組曲『四季』では、躊躇することなくロシアの自然を歌い上げる嬉々とした作曲家の姿が浮かび上がります。

ラフマニノフのソナタ第2番は循環形式で書かれており、全3楽章が統一されています。1913年に初版が作曲され、1931年に改変されました。第2版は大幅に短縮されたため、形式があいまいでわかりにくいという批判もありますが、コーダまで進んでいく推進力は凄まじく、感動の渦を巻き起こします。ラフマニノフは創作に霊感を与えるのは “愛” であり、“神聖なひらめき” こそ創作の賜物であると言っていますが、彼の言う “愛” とは、神との関係にあるものでしょう。彼の愛したロシア正教会では、人間は成長してやがては神に限りなく似ていく “神化” をめざしましたが、このソナタには神との一体化を望むラフマニノフの姿を感じるのです。

原田英代