第10回 ワンダフルoneアワー
N響精鋭メンバーによる管楽アンサンブル

9人のオーケストラ「ハルモニームジーク」

2014年6月20日(金)

①15:00開演(14:30開場) ②19:30開演(19:00開場) ※休憩なし約1時間

各回全席指定3,000円(税込)

名実ともに日本を代表するオーケストラ・N響の精鋭メンバー9人による、管楽器にフォーカスをあてた新しいアンサンブルが「ワンダフルoneアワー」に登場します。
18世紀後半、主に木管楽器を用いた管楽アンサンブル「ハルモニームジーク」は人気があり、中でもオペラ作品やオーケストラ作品の「ハルモニームジーク」編曲版は、市民も身近なところで楽しめることから大変流行しました。特に、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット各2本ずつにコントラバス1本(またはコントラファゴット1本)を加えた9人の編成は、その表現力の幅広さ、柔軟性の高さから最も好まれ、数多くの作品が編曲されました。 今回はベートーヴェン唯一の歌劇作品「フィデリオ」から、「序曲」や「アリア」等、珠玉のレパートリーを抜粋で、そしてメインはベートーヴェン「交響曲第7番」を演奏。ベートーヴェンの時代に流行した、当時のハルモニームジークの愉しみを甦らせます。豊かな響きを誇るHakuju Hallで聴く9人のハルモニームジークは、フル・オーケストラをも超える豊かさと躍動感、鮮やかに際立つ管楽器のクリアな音色で皆様を包み込むことでしょう。

[出演]

青山聖樹、和久井仁(オーボエ) Satoki Aoyama・Hitoshi Wakui, oboe
伊藤圭、山根孝司(クラリネット) Kei Ito・Takashi Yamane, clarinet
福川伸陽、勝俣泰(ホルン) Nobuaki Fukukawa・Yasushi Katsumata, horn
水谷上総、森田格(ファゴット) Kazusa Mizutani・Itaru Morita, fagot
吉田秀(コントラバス) Shu Yoshida, contrabass

[プログラム]

ベートーヴェン(セドラク編):歌劇「フィデリオ」より 序曲 ほか
ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調 op.92

「フィデリオ」演奏曲 決定!

ベートーヴェン唯一の歌劇「フィデリオ」から、今回演奏する曲目が決定いたしました!
「フィデリオ」は、愛と勇気に満ちた女性“レオノーレ”が、男装して“フィデリオ”と名乗り、無実の罪で囚われている、愛する夫“フロレスタン”を救出する物語。全2幕の物語から、今回は序曲を含む6曲を抜粋してお届けします。

1. 序曲
オーケストラのレパートリーとしても人気の高い管弦楽曲で、これから始まる物語を端的に表しています。管楽アンサンブルならではの、軽快で色彩豊かな音色にわくわくすること間違いありません!

2. 第1幕 二重唱「ようやく二人きりになったね」(ヤキーノ、マルツェリーネ)
門番ヤキーノと、牢番ロッコの娘マルツェリーネの二重唱。ヤキーノはマルツェリーネに結婚をせまりますが、マルツェリーネは今はフィデリオに夢中とつれない返事をします。

3. 第1幕 アリア「もしあなたと一緒になれて」(マルツェリーネ)
マルツェリーネが心を寄せるフィデリオを想うアリア。うまく想いを伝えられない“ため息”と、二人の幸せな姿を想像する“希望”。複雑な恋心を歌います。

4. 第1幕 四重唱「何という不思議な気持ちでしょう」(マルツェリーネ、レオノーレ、ロッコ、ヤキーノ)
フィデリオはきっと自分のことを好きで、自分は幸せになれると歓ぶマルツェリーネ。
マルツェリーネが本当は女性である自分に想いを寄せていることに当惑するレオノーレ。
娘のマルツェリーネはフィデリオと二人で幸せになるだろうと微笑むロッコ。
父親のロッコが二人の仲を認めるのだから、もはやどうにもできないと絶望するヤキーノ。
四人四様の心中を歌う美しいカノンです。

5. 第2幕 序奏とアリアより「人生の春の時に幸福が」(フロレスタン)
絶望の中、すべてを受け入れようとするフロレスタン。やがて幻を見て、自分のそばに立つ天使は愛する妻レオノーレではないかと感情を高ぶらせます。

6. 第2幕 二重唱「ああ、えも言われぬ喜び!」(レオノーレ、フロレスタン)
救出されたフロレスタンとレオノーレによる歓喜の歌。喜びと愛に満ちた軽快なアレグロ・ヴィヴァーチェは、二人の気持ちの高ぶりを巧みに表現しています。

[プロフィール]

青山聖樹(オーボエ) Satoki Aoyama, oboe

NHK交響楽団首席オーボエ奏者。元ドイツ・フィルハーモニア・フンガリカ、新日本フィルハーモニー交響楽団首席奏者。東京生まれ。幼少よりドイツで育つ。名手インゴ・ゴリツキー氏のもとでオーボエを始める。ゲスト首席として、ヨーロッパ各地の管弦楽団(ブダペスト祝祭管弦楽団、ミュンヘン・バッハゾリステン等)に客演し、ソリストとしてKBS交響楽団、韓国交響楽団、北京交響楽団、ドイツ・フィルハーモニア・フンガリカ、ソフィア・フィル、新日本フィル、神戸合奏団、アンサンブルofトウキョウ等と協演。また、武蔵野音楽大学准教授、東京藝術大学非常勤講師として後進の指導にあたる。

和久井仁(オーボエ) Hitoshi Wakui, oboe

オーボエを似鳥健彦氏に師事し、1989年東京芸術大学入学。同校ではオーボエを小島葉子、小畑善昭の両氏に、また室内楽をH・ピュイグ・ロジェ、中川良平、山本正治の各氏に師事。同大学を卒業後、東京佼成ウインドオーケストラに入団し首席奏者とアシスタントコンサートマスターを務めた。2001年4月からは愛知県立芸術大学音楽学部の専任講師として勤務した後、’04年4月にNHK交響楽団へ入団し、オーボエ奏者を務めている。現在、愛知県立芸術大学、東京芸術大学、桐朋音楽大学オーケストラアカデミーの非常勤の非常勤講師。トウキョウモーツァルトプレーヤーズメンバー。

伊藤圭(クラリネット) Kei Ito, clarinet

1977年宮城県出身。2001年東京藝術大学卒業。’02年JILA音楽コンクール室内楽部門第1位。’04年第6回日本クラリネットコンクール第一位。’06年第75回日本音楽コンクール入選。これまでにクラリネットを千石進、日比野裕幸、野田祐介、山本正治、三界秀実、村井祐児の各氏に師事。室内楽を岡崎耕治、四戸世紀の各氏に師事。現在、NHK交響楽団首席クラリネット奏者。尚美ミュージックカレッジ専門学校、上野学園、フェリス女学院、愛知県立藝術大学、東京藝術大学講師。

山根孝司(クラリネット) Takashi Yamane, clarinet

国立音楽大学、ベルギー王立アントワープ音楽院、リエージュ音楽院を卒業。クラリネットを故大橋幸夫、濱中浩一、ワルテル・ブイケンズ、アントニー・ペイ、アラン・ダミアン、室内楽をテオ・メルテンス、ジャン=ピエール・プヴィオン、ヴィンコ・グロボカール、作曲をフレデリック・ジェフスキーの各氏に師事。ブリュッセルのイクトゥス・アンサンブル、パリのアンサンブル・アルテルナンスのクラリネット奏者を経て、現在はNHK交響楽団楽員、秋吉台現代音楽セミナー、昭和音楽大学、洗足学園音楽大学の講師。

福川伸陽(ホルン) Nobuaki Fukukawa, horn

2008年第77回日本音楽コンクール第一位。ソリストとして、日本フィル、東京フィルなどのオーケストラとホルン協奏曲を演奏。共演指揮者には小林研一郎、下野竜也、沼尻竜典、手塚幸紀、梅田俊明、藤岡幸夫ほかが挙げられる。作曲家からも数多くの作品を献呈され、吉松隆作曲「Spiral Bird Suite」、藤倉大作曲「ぽよぽよ」は福川伸陽のために書かれた。オーケストラ奏者としては、日本フィルハーモニー交響楽団首席奏者を経て、現在NHK交響楽団ホルン奏者。洗足学園音楽大学、フェリス女学院大学、昭和音楽大学の非常勤講師として、後進の指導にもあたっている。キングレコードよりソロCD「Rhapsody in Horn」、「Rhapsody in Horn2」をリリース。レコード芸術誌(音楽之友社)で特選盤にも選ばれた。

勝俣泰(ホルン) Yasushi Katsumata, horn

東京都出身。東京藝術大学卒業、同大学院修了。ホルンを有馬純晴、守山光三、故千葉馨、松﨑裕、水野信行、ヨアヒム・ペルトゥルの各氏に師事。1998年よりサイトウ•キネン•オーケストラに参加。’99年、新日本フィルハーモニー交響楽団に入団。2001年より文化庁派遣在外研修員としてデュッセルドルフのロベルト・シューマン音楽大学に留学、最高位ディプロマを取得して同大を卒業。帰国後、’06年よりNHK交響楽団団員。ジャパン・ホルン・クインテットメンバー。上野学園大学、洗足学園音楽大学、各非常勤講師。水戸室内管弦楽団や各地の音楽祭などに出演。

水谷上総(ファゴット) Kazusa Mizutani, fagot

京都市出身。16歳よりファゴットを始め、仙崎和男氏に師事。1987年京都市立芸術大学卒業、光永武夫氏に師事。同年、ドイツ学術交流会(DAAD)給費留学生としてデトモルト音楽大学に留学。’90年同大学を最優秀で卒業、ヘルマン・ユンク氏に師事。ライン・ドイツ歌劇場管弦楽団(’89年~)、群馬交響楽団(’93年~)を経て、2000年NHK交響楽団首席ファゴット奏者に就任。紀尾井シンフォニエッタ東京メンバー。CDは池辺晋一郎のファゴット協奏曲「炎の資格」(カメラータ)、「ゾナーテン」「ドイツ作曲家によるファゴット作品集」(オクタヴィア・レコード)をリリース。また東京音楽大学兼任教授、東京芸術大学講師として後進の指導にもあたっている。

森田格(ファゴット) Itaru Morita, fagot

1961年東京都足立区生まれ。高校1年よりファゴットを始める。’84年東京芸術大学卒業。’86年第3回日本管打楽器コンクール第1位。’88年NHK交響楽団へ入団。これまでにファゴットを、関口敏樹、故三田平八郎、Fritz Henker、岡崎耕治の各氏に師事。上野学園大学非常勤講師。

吉田秀(コントラバス) Shu Yoshida, contrabass

1986年東京芸術大学音楽学部卒業。同大学管弦楽研究部首席奏者を経て1991年NHK交響楽団に入団。現在首席奏者を務める。室内楽の分野ではオーギュスタン・デュメイ、ピンカス・ズッカーマン、ライナー・キュッヒル、マリア・ジョアン・ピリス、ヴォルフガング・サヴァリッシュ、カルミナ弦楽四重奏団、ベルリンフィルピアノ四重奏団、ターリッヒ弦楽四重奏団、メロス弦楽四重奏団、ライプツィヒ弦楽四重奏団、ゲヴァントハウス弦楽四重奏団などと共演。またオイロスアンサンブル、東京シンフォニエッタ、いずみシンフォニエッタ大阪、紀尾井シンフォニエッタ東京、鎌倉ゾリステンなどのメンバーとしても活動。霧島国際音楽祭、宮崎国際音楽祭などに参加。東京音楽大学客員教授、京都市立芸術大学非常勤講師。

オンライン予約

Hakuju Hallチケットセンター 電話:03-5478-8700

(販売中)

リレーインタビュー!

【第1番】 福川伸陽(ホルン)

[Q] ホルンを始めた“きっかけ”は?
[A] 中学の時に吹奏楽部に勧誘されたのがきっかけでした。 本当は映画音楽などで活躍するトランペットがやりたかったのですが…パート決めジャンケンで負け、ホルンに。もちろん直ぐにその音色の虜になりましたが、もしジャンケンで勝っていたら、今頃何しているんだろう…

[Q] 好きな楽器は?
[A] チェロです。チェロのために書かれた曲で、好きなものが沢山あります。ドヴォルザークの協奏曲、ラフマニノフ、シュトラウスのソナタ、シューマン、バッハ…誰か弾けるようになるまで教えてくれないかなぁ(笑)

[Q] 管楽アンサンブルの魅力を一言で!
[A] オーケストラの真ん中にいる管楽器セクションをゴソッと取り出した形ですが、これはもう小さいオーケストラ。編成が削ぎ落とされた代わりに、演奏者たちの情熱が何倍にも増して伝わってきます。聴いた事がない方には、本当にオススメですよ。聴いた事がある方、大好きになったでしょう?

[Q] N響での“ベト7”の思い出、おもしろエピソード、今だから言える失敗話があったら教えてください。
[A] 僕はまだ入団して日が浅いので、N響では7番を演奏したことがないのですが、以前に所属していたオーケストラでは、「一日に“ベト7”2回を4日間」とか「地方公演で14回連続“ベト7”」とか、そろそろ誰かがギネスブックに載せてくれるんじゃないかと期待しています(笑)

[Q] 6月20日 Hakuju公演の聴きどころ・見どころを教えてください。
[A] 常々考えているのですが、オーケストラを聴く一番の特等席は、S席でもプラチナ席でもなく、オーケストラの中だと思っています。周りの音楽家たちの音楽のエネルギーが渦を巻いているのが見えるんです。今回は演奏者がすぐそこに。皆さんも、普段僕たちの体験している雰囲気が味わえる、とってもいいチャンスだと思います。
スター選手揃いのこのアンサンブル、メンバーの一人として誇りに思いますし、一音楽家として本当に楽しみです!

[Q] ありがとうございました。最後に、次の回答者をご指名ください。
[A]コントラバスの吉田さん、お願いします!

【第2番】 吉田秀(コントラバス)

[Q] どうしてコントラバスを始めたのでしょうか?楽器を始めた“きっかけ”を教えてください。
[A] 最初に始めた楽器はクラシックギター(小学校1年生から)だったのですが、その当時音楽高校にはギター科がなく、高校に入る手段の為だけで師の薦めでコントラバスを始めました。最初は高校に入ってもギターを続けて行くつもりでしたが、授業でオーケストラを経験してその楽しさを味わってしまったのと、その時習っていた美人ピアノ先生に、ギターを弾くには絶対必要な爪がピアノを弾く時にはカチカチうるさいから、「試験の時ぐらいその爪切りよし~」とはんなりした京都弁で言われ、命のような爪をあっさり切ってしまったことで、気が付いたらコントラバス奏者を夢見ていました。

[Q] 好きな楽器は?
[A] 実はオーボエなんです。好きと言う言葉が適切かどうかわかりませんが、いつも気になるんです。子供の頃好きな女の子が何してるか気になって気になって仕方がないあの感じ…

[Q] 管楽アンサンブルの魅力を一言で!
[A] 個性のぶつかり合い。弦楽アンサンブルと違ってそれぞれ発音のメカニズムが違う楽器が集まって一つの世界を描くところだと思います。皆さん名手なのでその個性を生かしつつ音色を融合させる事が出来るのです。ブラスバンドの中のコントラバスの役割と同じように、その音色の融合に少しでも役に立てれば嬉しいです。

[Q] N響での“ベト7”の思い出、おもしろエピソード、今だから言える失敗話があったら教えてください。
[A] これは公開出来る話題ではないと思いますが…
“ベト7”はとても名曲なので、全国各地を回る演奏旅行でよく取り上げられます。20年ぐらい前の九州地方の旅行の時、演奏会後の食事(いわゆる飲み会)が終わってホテルに戻る途中でゲームセンターに寄り、UFOキャッチャーで友人が女性用の真っ白の下着をゲットしました。何故かわたくしはそれを頂き、翌日の公演の時、燕尾服の胸ポケットの中にハンカチの代わりに差し込んでいたのですが、本番中にそれをポケットから出して額の汗を拭けたら“ご褒美”と言う流れになってしまいました。
ベートーヴェンの7番の3楽章には、コントラバスに長いお休みがあります。絶好の場所です。やるしかありません。勇気を振り絞りポケットから出すことはできましたが、それを広げる事は、さすがにできませんでした。

[Q] 6月20日Hakuju公演の聴きどころ・見どころを教えてください。
[A] この種のアンサンブルで全員が同じオーケストラのメンバーというのは、意外に珍しいような気がします。
なので、お互いの芸風は熟知していると思うのですが、日頃指揮者に気を遣って出していない奥に秘めたものが炸裂するのではないかと楽しみにしています。

[Q] ありがとうございました。最後に、次の回答者をご指名ください。
[A] ファゴットの水谷さん、お願いします!

【第3番】 水谷上総(ファゴット)

[Q] どうしてファゴットを始めたのでしょうか?楽器をはじめた“きっかけ”を教えてください。
[A] 中学一年生の時から吹奏楽部でユーフォニアムを吹いていたのですが、どうしてもオーケストラの中にある楽器をやりたくて、高校二年の終わりに顧問の先生に担当楽器の変更を願い出ました。本当はホルンかオーボエがやりたかったのですが、ファゴットだったら空いているから代わってもいいと言われ、現在まで甚だ不本意ながらファゴットを吹いています。

[Q] 好きな楽器は?
[A] 上述の通りホルン、オーボエ、そしてティンパニです。とにかく格好よく目立つ楽器に憧れます。

[Q] N響での“ベト7”の思い出はありますか?
[A] サヴァリッシュさんがN響で最後に振られた曲が“ベト7”でした。そしてこのあと再来日されることなく現役を引退されたので、この演奏がN響との白鳥の歌となってしまいました。第四楽章を振り終えたあとオーケストラに向かって日本語で「サ・ヨ・ウ・ナ・ラ」と仰いました。ご本人はこれが最後の演奏会となり、そしてもう終焉が近づいていることを悟っていらっしゃったのだと思います。我々も何となくその様な予感はありました。ですから全身全霊を込めて演奏しました。リハーサルで特に印象に残っているのが第二楽章の主要旋律に出てくる前打音の入れ方についてです。普通は拍頭に入れるのですが、「これはハンガリーの音楽じゃないんだから拍の前に出すように!」。ドイツ音楽の正統的な演奏法を何十年にも渡ってN響に伝授して下さいました。

[Q] 管楽アンサンブルの魅力、6/20 hakuju公演の聴きどころを教えてください。
[A] 弦楽アンサンブルはヴァイオリンからコントラバスまで幅広い音域の差はありますが、楽器自体が同じ形をしているので、残念ながら色彩の変化に乏しく、例えて言うならば墨の濃淡だけであらゆるものを表現する水墨画のようです。管楽アンサンブル(今回は木管八重奏)は異なる四種類の楽器が二本ずつ。こちらは色彩豊かなゴッホの絵でしょうか。額の中では八本のひまわりが競うように咲き誇ります。そしてそのひまわりたちが協調性を持って一緒に和音を奏でた時のあの得も言われぬ音の柔らかさといったら……是非会場でお確かめ下さい。

[Q] ありがとうございました。最後に、次の回答者をご指名ください。
[A] クラリネットの伊藤圭さん、お願いします!

【第4番】 伊藤圭(クラリネット)

[Q] どうしてクラリネットを始めたのでしょうか?楽器をはじめた“きっかけ”を教えてください。
[A] 中学生の時に吹奏楽部の部室にあったクラリネット・アンサンブルのCDを聴いたのがきっかけです。その頃はトロンボーンを吹いていました(男子が吹奏楽部へ入れば、“男は黙って金管”が常識でした・・・)。高校に入ったらクラリネットをやるぞ!と、特にトロンボーンを辞めることに未練も無く、あっさり決めました(笑)

[Q] 好きな楽器、実は嫌いな楽器、はありますか?
[A] 好きな楽器、今はピアノです。嫌いな楽器、んー、ありません。あってもここでは言えないでしょう・・・(秘)
N響の2月の定期演奏会で、ティル・フェルナーさんという素晴らしいピアニストと共演する機会がありました。モーツァルトのピアノ協奏曲第22番変ホ長調でしたね。改めて、ピアノの奥深さ、色彩を感じました。彼の演奏から、音の発音や響かせ方、フレージングなどの音楽的な技術の他にも、演奏に対する考え方や姿勢、演奏家としてとても大切な事を学ばせてもらったように思います。
今は彼のバッハを毎朝の通勤時間に聴いています。

[Q] N響での“ベト7”の思い出はありますか?
[A] N響ではありませんでしたが、プロのオーケストラで初めて演奏した曲が“ベト7”でした。
N響に入団してから何度も演奏をしていますが、冒頭の♪ソーレーソーファーミー(クラリネットユニゾン)を吹く度に、当時の緊張が蘇ります。

[Q] 6/20 hakuju公演の聴きどころを教えてください。
[A] 恥ずかしながら、この編成で編曲されているなんて全く知りませんでした。色彩豊かな素晴らしい編曲です。ただ休符が少ないので最後まで“もつ”かどうか・・・体力勝負ですね。普段のオーケストラ以上に奏者の個性を間近で感じていただける演奏会になると思います。是非ご来場ください。

[Q] ありがとうございました。最後に、次の回答者をご指名ください。
[A] オーボエの青山聖樹さん、お願いします!

【第5番】 青山聖樹(オーボエ)

[Q] どうしてオーボエを始めたのでしょうか?楽器をはじめた“きっかけ”を教えてください。
[A] 幼少の頃、父の仕事のためにドイツのハノーファーで育ちました。ヴァイオリン、ピアノ、フルート、ボーイソプラノ・・・と色々試しているうちに、当時ハノーファーで教鞭をとっていたインゴ・ゴリツキー氏に出会うチャンスがあり、12歳の時に先生の元でオーボエを始めました。

[Q] 好きな楽器、実は嫌いな楽器、はありますか?
[A] 1番好きな楽器は人間の声だと思います。あまり好きではないのが電子楽器ですね。

[Q] 管楽アンサンブルの魅力を一言で!
[A] オーケストラの中で Harmonie ハーモニー = 調和を任された楽器の集まりです!みんなの様々な音色の組み合わせで色々な美しい響きを作るのが最大の魅力です。

[Q] N響での“ベト7”の思い出、今だから言える失敗話などがあったら教えていただけますか?
[A] 数年前、マエストロ ファビオ・ルイジの指揮で演奏しました。特に緊張していたわけでは無いのですが、張り切り過ぎて、3楽章のソロの部分を1小節早く飛び出して、すぐにもう一度吹き直した記憶があります。(≧∇≦)
・・・にもかかわらず、音楽的にとても印象深い演奏でした。

[Q] 6/20 hakuju公演の聴きどころを教えてください。
[A] 18世紀後半のウィーンでは大人気だったハルモニームジーク。モーツァルトは自分の人気オペラをハルモニー用に編曲して“もう一儲けするんだ”という手紙を書き残しています。残念ながら、モーツァルト自身の楽譜は見つかっていませんが、そのアイディアを受け継いで、素晴らしい原曲をハルモニー用に編曲した作曲家がたくさんいます。
当時のヨーロッパの音楽ファンに親しまれていた美しい響きを、我々と一緒に満喫してください!

[Q] ありがとうございました。最後に、次の回答者をご指名ください。
[A] 一緒にオーボエを吹く和久井仁さん、お願いします!

【第6番】 和久井仁(オーボエ)

[Q] どうしてオーボエを始めたのでしょう?楽器を始めた“きっかけ”を教えてください。
[A] 中学一年生の時に吹奏楽部へ入部。希望楽器はホルンだったのですが・・・楽器について無知過ぎて楽器の名前が分からず、“オーボエ”と書いてしまったのが発端です。入部当初は学校にオーボエの楽器が無かったため、クラリネットを担当していましたが、二年生になる時オーボエに転向するように先輩から命じられ、現在に至ります。

[Q] 好きな楽器は?
[A] 上記の通り、ホルンです・・・

[Q] 管楽アンサンブルの魅力を一言で!
[A] 熱気!?

[Q] N響での“ベト7”の思い出、おもしろエピソード、今だから言える失敗話があったら教えてください。
[A] 数々の思い出がありますが、中でも、入団した月にスクロヴァチェフスキーさんの指揮で演奏した際・・・何度も演奏していた曲なのに失神しそうに緊張したのを覚えています。

[Q] 6/20 hakuju公演の聴きどころ・見どころを教えてください。
[A] N響のメンバーで室内楽をやると、本当にやりやすい事が多いので、きっと良い演奏になるのでは?…と人ごとの様に期待しています。
もちろん、私も足を引っ張らないよう頑張ります!

[Q] ありがとうございました。最後に、次の回答者をご指名ください。
[A] ファゴットの森田格さん、お願いします!

【第7番】 森田格(ファゴット)

[Q] どうしてファゴットを始めたのでしょうか?楽器をはじめた“きっかけ”を教えてください。
[A] 中学の吹奏楽部でファゴットの存在を知り、その頃から聴き始めたオーケストラのレコードの中のファゴットの音に魅せられて、3年間片思いした後高校に入ってやっと始めることができました。

[Q] 好きな楽器、実は嫌いな楽器、はありますか?
[A] 管弦楽の楽器で嫌いな楽器はありません。全て音楽を描くのに必要な素材ですから。
ただどの楽器も好きなのですが、その中でレベルがあります。
もちろん断トツはファゴットです。その逆は・・・言えません・・・

[Q] N響での“ベト7”の思い出はありますか?
[A] 確か中学生の頃だと思いますが、お小遣いを貯めて買った“ベト7”のレコードを溝が擦り切れるほど聴きました。演奏はプレヴィン指揮ロンドン交響楽団。
それから数十年後、まさかそのプレヴィンの指揮で“ベト7”を演奏しているなんて、中学生当時の自分には想像もできなかったでしょう。とても感慨深い演奏会でした。
その練習の時、氏の写真が映っているレコードジャケットを持ってサインをもらいに行きましたが、当人も若かりし頃の自分を見て笑っていました。

[Q] 6/20 hakuju公演の聴きどころ・見どころを教えてください。
[A] 今回のメンバーを見渡したら・・・えっ?僕が最年長!?
多分全員の入団試験に立ち会っていますが、N響は世代交代が実にうまくいっています。次々と素晴らしい素質を持つメンバーが入り、代々N響に受け継がれるアンサンブルを体得し、いつの間にか中核メンバーになっている・・・
いい演奏会にならないわけがありません。僕自身聴衆として客席で聴いていたいくらいです。

[Q] ありがとうございました。最後に、次の回答者をご指名ください。
[A] メンバー中一番真面目なホルンの勝俣君にお願いします!

【第8番】 勝俣泰(ホルン)

[Q] どうしてホルンを始めたのでしょうか?楽器をはじめた“きっかけ”を教えてください。
[A] それまでひたすら体育会系で、当時の将来の夢はプロ野球選手だった程ですが、中学1年の夏に交通事故に遭い、しばらく運動ができなくなったために文化系の部活動に転向することとなり、吹奏楽部に入部したのがきっかけでした。その際、直感の下にホルンを希望したのですが、途中入部のためトランペットしか余っておらず、嫌々ながら中学卒業までやっていまして、高校に入ってやっと念願のホルンを手にできました。
しかし、あの事故がなかったら今頃何をしていたのでしょうか・・・

[Q] 好きな楽器、実は嫌いな楽器、はありますか?
[A] わりと気が多い方なので(笑)、好きな楽器というのは結構ブームがあったりしますが、改めて考えてみますと、一番長い間憧れ続けているのはパイプオルガンですね。特にバッハのコラール、“Liebster Herr Jesu, wir sind hier” BWV731には、打ちひしがれた時に幾度となく救われてきました。と、こう言っているだけで胸が熱くなって涙が溢れそうになります・・・いつか実際にパイプオルガンに触れる機会があることを願っています。
嫌いな楽器は・・・ないです。本当にないですよ!

[Q] 管楽アンサンブルの魅力を一言で!
[A] 他の方がすでにお話になっていることですが、やはり音色の多様性と色彩感の豊かさにあると思います。

[Q] “ベト7”の思い出はありますか?
[A] N響での経験ではないのですが、プロオケで初めて“ベト7”を吹いたのは、朝比奈隆先生の指揮でした。学生だった私は2番ホルンのエキストラとして乗せていただいておりました。3楽章のトリオで、2番ホルンがオケ全体の動きを牽引するような役割を持った部分があるのですが、そのリハーサル初日、朝比奈先生の棒をしっかりと理解することができず、オタオタしながら吹いていましたら、休憩時間になって様々な楽器の方々が列をなして入れ替わり立ち替わりやってこられまして、皆さん半ば怒り気味にアドバイスをくださいました。何とか本番はうまくいった(らしい)のですが、生きた心地がしないまま、何をやったのか全く覚えていなかったことが、記憶の深いところに残っています(笑)

[Q] 6/20 hakuju公演の聴きどころ・見どころを教えてください。
[A] 例えて言うなら、抑制されてきた部分が解き放たれる、というような演奏会になるのではと思っています。メンバーの顔付きから仕草、そしてもちろん演奏に至るまで、普段とはまた違った表情の音楽をお届けできるはずです。お客様にお楽しみいただけますよう、精一杯努めてまいります!

[Q] ありがとうございました。最後の回答者へバトンをお渡しください。
[A] メンバー中一番美食家な山根孝司さん、ハクジュホール近辺のオススメな美味しいお店を教えてくだ…ではなくて、締めの回答をお願いしまーす♪

【第9番】 山根孝司(クラリネット)

[Q] どうしてクラリネットを始めたのでしょうか?楽器をはじめた“きっかけ”を教えてください。
[A] 中学校に入学した時に友人に誘われて吹奏楽部に入部したので。希望はクラリネットではありませんでした…(笑)

[Q] 好きな楽器、実は嫌いな楽器、はありますか?
[A] 全部好きです。

[Q] 管楽アンサンブルの魅力を一言で!
[A] 一言では言えません。それほど面白い。

[Q] N響での“ベト7”の思い出や、今だから言える失敗話があったら教えてください。
[A] 今でも言えない話ばかりです。個人的に思い出の“ベト7”はファビオ・ルイージとの演奏です。

[Q] 6/20 hakuju公演の聴きどころ・見どころを教えてください。
[A] 普段と違う編成でのベートーヴェンをどう料理するのか、というところではないでしょうか。

★ メンバー中もっとも美食家の山根さんならではの〆のお言葉、ありがとうございました!

<N響精鋭メンバーによる管楽アンサンブル>の出演者9名によるリレーインタビュー、いかがでしたでしょうか?メンバーの個性を感じていただき、公演を「聴く」楽しみと「見る」楽しみの両方が増えたのではないでしょうか!? 皆様のご来場、スタッフ一同、お待ちしております!

メッセージ

ハルモニームジークとは?

みなさんは、モーツァルトが「自分の作品の中で最高の曲」と手紙で書いている作品が何かご存知だろうか?意外に思われるかもしれないが、ピアノ協奏曲でもオペラでもなく、ピアノと管楽器のために書いた五重奏曲K.452なのである。
確かに、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットという4種類の管楽器が織り成す音色の彩は、弦楽器やピアノの音楽ではけっして得られるものではない。ちょっとした息遣いで音の陰影が変化する様も管楽器ならではの魅力である。
この4種の管楽器を2本ずつ使ったのが、今宵お届けする「ハルモニームジーク」である。古典派時代のオーケストラの編成を見ればわかるように、管楽器はそれぞれ2本ずつペアで使うのがもっとも効果的であり、4種の管楽器を2本ずつ使う「ハルモニー」は、管楽器のアンサンブルとしては理想的な編成と言っていいだろう。
8人編成のハルモニーが確立したのは18世紀末のウィーンであった。それ以前にも各地に管楽器による合奏は存在していたが、ヨーゼフ二世が1782年にこの編成の団体を宮廷に常設したことでスタンダードなスタイルになったのである。モーツァルトがこの編成を知って、前年に管楽六重奏曲として作曲したセレナーデ第11番K.375にオーボエ2本を加えたエピソードはよく知られている。
ところで、ハルモニーの編成にフルートが含まれていないことを不思議に思われている方もいらっしゃるかもしれない。バロック・古典派時代のフルートは、ルイ十四世時代の宮廷の部屋で上品な音がするようにパリで改良されたもので、フリードリヒ大王をはじめ王族や貴族の趣味の楽器として親しまれていた。一方、当時は田舎であったボヘミアの楽師たちは、宮廷で活躍できなかったホルンやクラリネットなどの合奏でウィーンに出稼ぎに来たのである。これがハルモニーに発展したので、宮廷の室内楽器であったフルートは含まれなかったのだ。
管楽器のみによるハルモニーには、野外での演奏に適しているというメリットもあった。それ故、貴族の庭園などに多くの人を招いて、流行りのオペラや交響曲を聴かせることができたのである。ラジオやレコードがなかった時代に重宝されたことは容易に想像がつくであろう。ちなみに、こうしたオペラや交響曲を演奏するときは、弦楽器のコントラバスが加わることが多かったようだ。
今回演奏されるベートーヴェンの交響曲第7番は、作曲者自身による編曲版が当時流行した。歌劇≪フィデリオ≫も、同じ時代に編曲家として人気があったセドラックによるものである。当時の優雅で気楽な雰囲気をぜひお楽しみあれ。

佐伯茂樹(音楽評論家)