原支配人による公演レビュー

2022年11月10日 (木)
【原支配人による公演レビュー】2022年10月28日(金) 渡辺玲子 プロデュース レクチャーコンサート vol.7

ハクジュホール設立前、おそらく1996年から親交のある渡辺玲子さんは、現在秋田の国際教養大学の特任教授を務められています。渡辺さんが国際教養大学とのご縁で秋田アトリオン音楽ホールにて青少年のための音楽教室を開催されており、それを大人向けにリニューアルして東京で開催したいというお話を10年ほど前に頂いたのをきっかけにレクチャーコンサートをスタートし、コロナで1回延期となりまして今年で7回目の開催となりました。
音楽の造詣、深みが素晴らしいピアノの江口玲さんもご一緒に、コンサートの終演後から日付が変わるまで、コロナ前はだいたい26時頃まで翌年のアイディア出しを行うという打ち上げ兼ブレストは、私の音楽の知識を大きく高めて下さるスペシャルなイベントでした。昨年はコロナ禍のため、ホールがある白寿本社で打ち合わせをしました。以前からアメリカの作品を取り上げようと考えていましたが、19世紀後半にアメリカ・新世界に渡ったドヴォルザークは、ヴァイオリンのオリジナルピースがあまりない。話し込むうちにアイヴズの名前が挙がり、流石にマニアック過ぎるのではという事で、亡命や移住でアメリカを行き来した音楽家を取り上げてはどうでしょうかという話をしました。
昨年まではヴァイオリン・ソナタを確実に取り上げるという方針があったのですが、今年はショウピースなため内容がてんこ盛り。前半はストラヴィンスキー、プロコフィエフ、バルトーク、ラフマニノフ、クライスラーで、後半はガーシュウィン、ラヴェル、コルンゴルト、ワックスマンというラインナップ。
ロシア国籍から逃れるためソ連に戻った人、欧州にいたユダヤ人、アメリカのクラシックをジャズと融合した人、映画音楽を切り開いた人…通して聴くと、アメリカに演奏旅行に行ったラヴェルはさておき、多くは二度に渡る世界大戦の影響を大きく受けながらもアメリカ・新世界に残り、後世に影響を与えたという事を学び感じる事が出来ました。レクチャーの合間にメニューイン、ハイフェッツ、クーセヴィツキー、或いは映画音楽ではオスカーなど、ダイナミックで夢のある様々な人物や出来事について聞く事が出来て、大変素晴らしい内容だと思いました。
渡辺さんが初めて演奏されたというバルトークの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ」第4楽章は凄まじい超絶技巧で、「失敗したらトラウマになりそう」というコメントもありましたが見事でした。ラヴェルの「ツィガーヌ」、ワックスマンの「カルメン幻想曲」など、こちらも殆どが超絶技巧。全ての作曲家のアメリカとの関わりをコンパクトに説明しながら超絶技巧の曲を演奏される渡辺玲子さんと、落ち着いてフォローされる江口玲さんの、頭の切り替えの早さ、天才ぶりに改めて感動させられた素晴らしい1日でした。

2022年10月28日(金) 渡辺玲子 プロデュース レクチャーコンサート vol.7 知る、聴く、喜び ~時代を彩る名曲とともに~ アメリカを愛した音楽家たち ~ヴァイオリンとピアノのためのショウピース~ 19:00開演
[出演]
渡辺玲子(ヴァイオリン) 江口玲(ピアノ)

[プログラム]
ストラヴィンスキー:ヴァイオリンとピアノのための協奏的二重奏曲
プロコフィエフ(ハイフェッツ編):組曲「3つのオレンジへの恋」 op.33bis より 第3曲 マーチ
バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ BB 124 より 第4楽章 プレスト
ラフマニノフ:「幻想的小品集」より 第5曲 変ロ短調 セレナード op.3-5 (1940年改訂) 
クライスラー:ウィーン奇想曲 op.2
クライスラー:ジプシーの女
クライスラー:美しきロスマリン
ガーシュウィン(ハイフェッツ編):「3つの前奏曲」より 第2番 嬰ハ短調
ラヴェル:ツィガーヌ
コルンゴルト:組曲「空騒ぎ」 op.11 より
  “花嫁の部屋の乙女”
  “ドグベリーとヴァージェス (夜警の行進)”
  “庭園の場”
  “仮面舞踏会 (ホーンパイプ)”
ワックスマン:カルメン幻想曲

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