原支配人による公演レビュー

2023年08月10日 (木)

【原支配人による公演レビュー】
2023年7月11日(火) カルテット・アマービレ BRAHMS Plus 〈 Ⅳ 〉

今回で4回目を迎えるこのシリーズは、
①ブラームスの弦楽四重奏3曲、弦楽五重奏2曲、弦楽六重奏2曲、ピアノ五重奏、クラリネット五重奏という、カルテットの基軸となるブラームスの室内楽を取り上げる。
②大先輩の音楽家をゲストに呼び共演する。ブラームスの弦楽四重奏を取り上げる際は、別の作曲家の五重奏や六重奏を演奏する。
③普段見落とされることが多い隠れた名曲、その中でも小曲を発掘する。
という決まりのもとに内容を考えています。

今回は①ブラームスの弦楽五重奏曲 第1番、②NHK交響楽団首席ヴィオラ奏者の村上淳一郎さんをお迎えしてのモーツァルトの弦楽五重奏曲 第4番、③コズマ(武満徹編)の枯葉です。さらにモーツァルトの弦楽四重奏曲 第21番も加えての4曲という、お腹いっぱいのプログラムになりました。笹沼さんと篠原さんは10代の頃からのお知り合いで、ミュンヘン国際音楽コンクールで第3位に入賞したのが2016年。シリーズ開始当初のアマービレはまだ学生で若手という意識がありましたが、活躍の場を広げ立派になられました。王子ホールではベートーヴェン・チクルスを行っており、日本中で引っ張りだこのカルテットです。ハクジュホールの数多ある主催シリーズの中で唯一「BRAHMS Plus」がコロナ禍による延期を免れたので、ご縁を感じています。

前半のモーツァルトの弦楽四重奏は、ホールの音響を熟知していることもあり素晴らしいアンサンブルで、村上さんが加わっての五重奏はまさに躍動!という感じでした。後半はコズマ作曲・武満徹編曲によるジャズの定番「枯葉」で始まりました。聴きなじみのあるメロディーを彷彿とさせる和音の連続の中で、ヴィオラが“枯葉よ”と弾いたときはゾクッとしました。ブラームスの弦楽五重奏曲 第1番は個人的に大好きな曲ですが、演奏機会が少ないため生で聴くのは初めてでした。モーツァルトでは第1ヴィオラだった村上さんがブラームスでは第2ヴィオラの低音で支えとなり、とても重厚で熱い演奏に引き込まれ、満員のお客様も拍手喝采でした。

ハクジュホールは今年10月、おかげさまで開館20周年を迎えます。20周年シーズンの7月から12月までの主催公演は、チラシやプログラムに記念ロゴが入りますのでご確認いただければと思います。

2023年7月11日(火) カルテット・アマービレ BRAHMS Plus 〈 Ⅳ 〉

[出演]
村上淳一郎(ヴィオラ)
カルテット・アマービレ
 篠原悠那(ヴァイオリン) 北田千尋(ヴァイオリン)
 中恵菜(ヴィオラ) 笹沼樹(チェロ)

[プログラム]
W.A.モーツァルト:弦楽四重奏曲 第21番 ニ長調 K.575
W.A.モーツァルト:弦楽五重奏曲 第4番 ト短調 K.516
J.コズマ(武満徹編):枯葉
J.ブラームス:弦楽五重奏曲 第1番 ヘ長調 op.88


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