原支配人による公演レビュー

2021年12月28日 (火)
【原支配人による公演レビュー】
2021年12月1日(水) 巡礼の旅 ~阪田知樹と辿るベートーヴェンとリストの軌跡~ 第2回「伝統への挑戦」

コロナ禍のため1年遅れで今年の6月にスタートしたピアノ阪田知樹さんによる、半年に1回、4年半かけて行われるリスト編曲、ピアノ2手によるベートーヴェン交響曲全集の第2回が12月1日に行われました。
第1回「旅の始まり」、交響曲第1番に続き今回もチケットはすぐに完売し、早くもハクジュホールの看板コンサートになりました。
今回のメインプログラムはベートーヴェン交響曲 第2番でしたが、前半にヴァイオリニストの成田達輝さんを迎えて、ヴァイオリンとピアノのためのデュオ(ソナタ)というリストにしては珍しいヴァイオリン曲、成田さんも初めて人前で披露したとのことでした。また、交響詩「オルフェウス」、ピアノ協奏曲 第2番(ピアノ独奏用初稿)が演奏されました。コンサート前に全ての曲に関してのトークが20分ほど行われました。「オルフェウス」はリストが編曲したというより弟子のシュピロが編曲したのをリストが少し見ただけであろうというエピソード、協奏曲に関しては曲目を決めた後に欧州中を探して後から譜面を手に入れたら異常に難しかった事、途中成田さんも加わり、日頃使うスチール弦ではなく、ハクジュホールの音響特性上から今回は羊の腸を捩ってコーティングするガット弦を使うお話があり、音が柔らかになる一方、すぐ調弦が狂う、音量が減るというガット弦演奏についての説明もありました。そして、「今回は珍しい曲ばかり、この曲たちが1つのコンサートで全曲並ぶ事は世界中でこれから未来永劫ないだろう、名曲コンサートではなく珍曲コンサートです。」というお話しに会場内は沸きました。
コンサート自体はなんと申しましょうか、難曲の連続で、技量自体の凄さに会場のお客様が引き込まれて行くような感じを受けました。
終了後、阪田さんは、特にリストの「ピアノ協奏曲」に関してはラフマニノフ「協奏曲 第3番」の十指全部で叩きまくるところが1楽章にありますが、あれがずっと継続している感じだったとおっしゃっていました。ということは、ハクジュホール史上1番ピアノの打鍵数が多いコンサートだったかもしれません…。
次回は来年6月30日ですが、いよいよ交響曲 第3番「英雄」です。次回からプレトークは開演前18時45分スタートです!2月にチケットを販売いたしますが完売必至なので見落とさないようにお気をつけください。

2021年12月1日(水) 巡礼の旅 ~阪田知樹と辿るベートーヴェンとリストの軌跡~
第2回「伝統への挑戦」19時開演

[出演]
阪田知樹(ピアノ)
ゲスト:成田達輝(ヴァイオリン)

[プログラム]
リスト:
  交響詩「オルフェウス」S.98/R.415(シュピロとリストによるピアノ独奏版)
  ピアノ協奏曲 第2番 イ長調(ピアノ独奏用初稿・1839年版)
  ヴァイオリンとピアノのためのデュオ(ソナタ)S.127/R.461 ※ゲスト:成田達輝(ヴァイオリン)

ベートーヴェン/リスト:交響曲 第2番 ニ長調 S.464/R.128

[アンコール]
リスト:2つのワルツ S.126b (ヴァイオリンとピアノ編)