原支配人による公演レビュー

2021年12月30日 (木)
【原支配人による公演レビュー】
2021年12月18日(土) 迫昭嘉の第九 vol.6 年の瀬は2台ピアノによる第九を!

10年前からの私、支配人テーマの1つに“ハクジュ主催公演にオーケストラがやって来た!”というのがあります。室内楽の小ホールですが、交響曲、交響詩、オペラ等原曲がオーケストラのメロディーを器楽や室内楽で表現することを積極的に行うという考えです。それに基づくと今年後半の企画、11月30日N響メンバーによるマーラー「交響曲 第10番 室内オーケストラ版」、12月1日は阪田知樹さんの「巡礼の旅」はベートーヴェン「交響曲 第2番」、12月10日TRAGIC TRILOGYは「オペラ 椿姫」。オリジナルありの編曲ありの色々ありますが、企画を一捻りしないと出来ないのでホール主催の特色や特徴が出る形と信じてやっております。
そんな中、5年以上前から名ピアニストの迫昭嘉さんが毎年12月後半の週末に、リスト編曲の2台ピアノで行う「第九」が、この時期ハクジュホールの風物詩になっております。昨年はコロナで3月11日以降、6月までのリクライニング・コンサートは中止、その他主催は延期、7月から12月の公演は全て翌年に延期したため昨年はありませんでしたが、今年は2年ぶりに行うことが出来ました。必ず前曲にチェロかヴァイオリンのソナタを入れて、メインが「第九」という形式でコンサートは組まれるのですが、今年は数年前に終了したチェロコレクションでお世話になった向山佳絵子さんを迎え「チェロ・ソナタ 第5番」、そしてピアノは江口玲さんとの「第九」でした。
この2台ピアノの「第九」日本初演は迫さんと清水和音さんだったとの記述をみて歴史をも感じました。
演奏は圧巻そのもの。お客様を集中力の輪に引きずり込むような感じがし、聴いていて幸せな気持ちも湧いて来て、来年はとても素晴らしい素敵な一年になる事を予感すらさせられる名演奏でした。
終了後「ブラボー」が言えないストレス発散からか拍手が鳴り止まず、カーテンコールが舞台袖の扉を閉めても鳴り止まないのでまた扉を開けて出直し、合計6回出入りする事になる程にお客様の喜びも冷めずでした。歓喜の午後となり、今年のハクジュホール主催の締めを最高の形で終える事が出来ました。

2021年12月18日(土) 迫昭嘉の第九 vol.6 年の瀬は2台ピアノによる第九を! 15時開演
[出演]
迫昭嘉(ピアノ)
向山佳絵子(チェロ)、江口玲(ピアノ)

[プログラム]
ベートーヴェン:チェロ・ソナタ 第5番 ニ長調 op.102-2
ベートーヴェン(リスト編):2台ピアノによる交響曲 第9番 ニ短調 op.125