原支配人による公演レビュー

2022年01月30日 (日)
【原支配人による公演レビュー】
2022年1月18日(火) 第164回 リクライニング・コンサート 上野星矢(フルート)&山宮るり子(ハープ) デュオ・リサイタル 15:00公演

ハクジュホールは1月~6月、7月~12月の2回に分けて主催公演を制作します。2020年前半は3月11日を最後にリクライニングは中止、その他は延期。2020年後半はブッキングした全てのコンサートを1年延期にしまして、2021年前半は延期にしたり決行を繰り返し、関係者の方々に様々なご負担をかけながら2021年は乗り切りました。
2022年1月から6月のコンサートに関しては1年前の仕込み。主催公演を考えている期間がずっと緊急事態宣言という先が見えない時期であり、一番不透明な時期の仕込みでした。
通常期間であれば半年でサロン・コンサートシリーズ2回、リクライニング・コンサートシリーズ4回を仕込むのですが、2022年の1月~6月は先行き不透明な時期の仕込みでしたのでサロンは延期公演1回含み2回、リクライニングは2回と、弱気且つ少ない開催になりました。
その2回のうち1回、そして今年の主催公演第1回目が本日のコンサートでした。
上野星矢さんとはお付き合いも長く、しかしながら主催公演でオファーを出した事がなかったので今回お願いしました。さすがアイディアフルで、この公演で終わらずに色んな企画が今後出て来そうな予感がしています。
フルートを軸に考えて、ギターとのデュオの話も出ましたが、最終的にはデュオのお相手としてハープの山宮るり子さんを選ばれてのコンサートとなりました。
コンサートのプログラムノートも凄く考えられていて、木管といえばイベールというイメージがあるのですが、そこからフォーレの誰もが知る「シシリエンヌ」を入れた後にアルトフルートを使用しての武満徹「海へ」、そしてメロディがとても素敵なニーノ・ロータの「フルートとハープのためのソナタ」。ニーノ・ロータは映画音楽「ロミオとジュリエット」、「ゴッドファーザー」などを作曲していますが、クラシック音楽家であるという話をトークにて聴いた後に流れてきたメロディは、本当に身体に入って来るように感じました。そして最後にボヌルの「カルメン・ファンタジー」で華やかに。
全曲通してホールの音響特質を活かした演奏は音色のバランスも良く、武満徹「海へ」は私が今まで聴いた中で1番小さなピアニッシモ(PPPPPPPP位の音)、吐く息と楽器の音の狭間位の音を聴かせていただきました。
アンコールは尾崎豊の「I LOVE YOU」。締めに出て来た名曲は多くのお客様の心に響いた事でしょう。

ハクジュホール、今年も主催公演始まりました。改めて今年1年間また、よろしくお願い申し上げます。

2022年1月18日(火) 第164回 リクライニング・コンサート 上野星矢(フルート)&山宮るり子(ハープ) デュオ・リサイタル 15:00/19:30公演

[出演]
上野星矢 (フルート) 山宮るり子(ハープ)

[プログラム]
イベール:間奏曲
フォーレ:シシリエンヌ op.78
フォーレ:ファンタジー op.79
武満徹:海へ  Ⅰ.夜 Ⅱ.白鯨 Ⅲ.鱈岬
ニーノ・ロータ:フルートとハープのためのソナタ
ボルヌ:カルメン・ファンタジー

[アンコール]
尾崎豊:I LOVE YOU