原支配人による公演レビュー

2022年06月25日 (土)
【原支配人による公演レビュー】
2022年5月27日(金) Hakuju サロン・コンサート vol.7 中野翔太&松永貴志&田中拓也

本来昨年2月に開催予定でしたが、緊急事態宣言による延期で1年3ヶ月を経て開催出来たコンサートです。待ちに待った、という感じでした。
中野翔太さんには第75回、第150回「リクライニング・コンサート」にご出演いただき、松永貴志さんには本業の医療機器メーカーの表彰式で演奏していただき、田中拓也さんには第145回「リクライニング・コンサート」と、一昨年まで行っていた3月11日の「東日本大震災 チャリティーコンサート」にご出演いただいておりました。このお三方と点で繋がっていたご縁を線に繋げて下さったのは、某事務所のマネージャーでした。中野さんと松永さんの2台ピアノ、中野さんと田中さんのデュオは素晴らしく、2台ピアノに田中さんの単旋律楽器が入ったら絶対に素晴らしいと。
クラシックの中野さんとジャズの松永さんはアメリカ時代から繋がりがあり、既に共演なさっていましたが、松永さんと田中さんは初対面でした。
ホールからオファーをしましたが、今回は創造性に富んだお三方にプログラムを決めていただきました。
前半は各々のソロと中野さん、田中さんのデュオ、後半はトリオがメインとなる構成でした。
最初のピアノとサクソフォンのデュオは、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」。ハクジュホールの空間で、原曲のフルートパートを、サクソフォンの息多く弱い音量で演奏すると神々しくなると分かってはいましたが想像以上でした。その後、中野さんのソロでリストの「愛の夢」を演奏した後は、急に独創性を増し、両ピアニスト作曲のオリジナル曲や松永さんによる『サウンド・オブ・ミュージック』の「マイ・フェイヴァリット・シングス」を披露、とても心揺さぶられました。
後半はピアノ2台をセッティングし、“jazzyな夜” というタイトルの通り、3人による演奏。スティービー・ワンダー、マイケル・ジャクソンの曲と、ガーシュウィンをはさんで坂本龍一の「戦場のメリークリスマス」、最後は “ハクジュ・スペシャル” と銘打って「ラプソディ・イン・ブルー」で華やかに締めくくられました。
アーティストがアドリブを交えながらどんどん乗って来て演奏するビジュアル自体が格好良く、お客様も身を乗り出されたと思います。松永さんと田中さんは初対面だったため、数回行ったリハーサルはどんな人柄の方なのか、どんな演奏をされる方なのかを知る時間であったと終演後におっしゃっていました。
チケットは完売まであと一歩、惜しい気持ちもありましたが、ご来場されたお客様が喜び、興奮し、魂を揺さぶられるような素晴らしいコンサートになったと思います。

2022年5月27日(金)19時開演 Hakuju サロン・コンサート vol.7 中野翔太&松永貴志&田中拓也 初共演! 異才トリオが贈るJazzyな夜
[出演]
中野翔太(ピアノ)
松永貴志(ピアノ)
田中拓也(サクソフォン)

[プログラム]
C.ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲 (田中・中野)
F.リスト:愛の夢 S.541/R.211 第3番 変イ長調 (中野)
中野翔太:Random Shapes II (田中・中野)
R.ロジャース:マイ・フェイヴァリット・シングス (松永)
松永貴志:神戸 (松永)
D.エリントン:キャラバン (松永)
S.ワンダー:イズント・シー・ラヴリー (中野・松永・田中)
M.ジャクソン:ヒューマン・ネイチャー (中野・松永・田中)
G.ガーシュウィン:アイ・ガット・リズム (中野・松永・田中)
坂本龍一:戦場のメリークリスマス (中野・松永)
G.ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー (ハクジュ・スペシャル) (中野・松永・田中)

[アンコール]
松永貴志:ガーリック・インターミディエイト
松永貴志:ナイト・リバー

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