原支配人による公演レビュー

2022年07月28日 (木)
【原支配人による公演レビュー】
2022年6月24日(金) カルテット・アマービレ BRAHMS Plus 〈 Ⅲ 〉

いよいよシリーズ第3回を迎えました。アマービレ結成以前にハクジュホールで行っていた「チェロ・コレクション」というシリーズの第1回に、当時10代だったチェロの笹沼さんがご出演されました。またホール1階のエントランスにベーゼンドルファーのピアノを置き、5年ほどコンサートを開催していましたが、その最初のコンサートのソリストがヴァイオリンの篠原さんでした。お付き合いの長いお二人がカルテット・アマービレのメンバーとなり、ミュンヘン国際コンクール第3位、アメリカのヤングコンサートアーティスト国際オーディション優勝と、アマービレの驚くべき成長ぶりをただただ凄いと思って見ていました。
現在アマービレは銀座の王子ホールでベートーヴェン・チクルスを行っていますが、ハクジュホールではブラームスの弦楽四重奏3曲、五重奏2曲、六重奏2曲、ピアノ五重奏、クラリネット五重奏を年に1回ペースで1曲ずつ取り上げています。毎回ゲストとして先輩の演奏家をお招きし、あまり知られていない曲を紹介するという、手の込んだシリーズです。
一昨年は堤剛さん、磯村和英さんを迎えての弦楽六重奏、昨年は清水和音さんを迎えてのピアノ五重奏。そして今年はチェロの山崎伸子さんとヴィオラの鈴木康浩さんをゲストにお招きいたしました。今回は初めてブラームスの「弦楽四重奏曲」を取り上げるため、ゲストと演奏するのは他の作曲家の作品にしようという事になり、名曲と誉れ高いものの演奏機会が少ないドヴォルザークの「弦楽六重奏曲」に決まりました。
プログラムの1曲目はプッチーニの弦楽四重奏曲 「菊」でした。プッチーニが室内楽曲を作っていたとは知りませんでしたが、彼のパトロンが亡くなった時に作られたと言われている追悼曲のようなテイストのしっとりした演奏の後に、ブラームスの「弦楽四重奏曲 第2番」で、若い4名の力強く息ぴったりな演奏が続きました。この曲は私が学生時代に練習し人前で演奏した曲でもあり、その約30年後にアマービレがハクジュホールで演奏してくださったので感無量でした。
ドヴォルザークの「弦楽六重奏曲」では、ゲストのお二人が加わることで「音楽って楽しいものなんだ!」と、聴いていて幸せを貰えるような感覚になりました。
アンコールではチャイコフスキーの「フィレンツェの思い出」から第2楽章を演奏。実は当初、アマービレが今回のプログラム案に入れていた曲です。
コロナ禍となり2年半が経過しました。本シリーズの第1回がコロナ流行寸前の2020年1月、第2回が政府から無観客開催の要請が出る寸前の2021年4月、そして今回。
ハクジュホール主催のシリーズの中で唯一、感染症による影響を受けなかったので、運の強さというか、ご縁というか、不思議だなと感じます。
次回の詳細は未定ですが、海外アーティストの招聘など、色々と考えております。

2022年6月24日(金) カルテット・アマービレ BRAHMS Plus 〈 Ⅲ 〉19時開演
[出演]
山崎伸子(チェロ) 鈴木康浩(ヴィオラ)
カルテット・アマービレ
篠原悠那、北田千尋(以上、ヴァイオリン)
中恵菜(ヴィオラ) 笹沼樹(チェロ)
[プログラム]
プッチーニ:弦楽四重奏曲 「菊」 嬰ハ短調
ブラームス:弦楽四重奏曲 第2番 イ短調 op.51-2
ドヴォルザーク:弦楽六重奏曲 イ長調 op.48
[アンコール]
チャイコフスキー:弦楽六重奏曲 op.70 「フィレンツェの思い出」より 第2楽章

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