原支配人による公演レビュー

2022年11月08日 (火)
【原支配人による公演レビュー】2022年10月18日(火) 第25回 二期会 ディーヴァ, ディーヴォ

ハクジュホールは、日本最大のオペラ団体である二期会と親しくさせて頂いております。二期会には若手音楽家の養成講座があり、毎年数十人の修了者が世に出て行きます。当ホールで行われている修了試演会で優秀な成績を収めた上位6人によるコンサートを、2013年から開催しています。チケット料金500円のワンコイン、11時開演の「二期会 モーニング ディーヴァ, ディーヴォ」としてスタートし、現在は14時開演の「二期会 ディーヴァ, ディーヴォ」という名目です。今回、10月18日に第25回を迎えました。次回、第26回は12月13日開催です。
今回の出演者はソプラノの川越未晴さん、鈴木香栞さん、バリトンの宮下嘉彦さん、ピアノの朴令鈴さんでした。曲目は出演者から案を出していただき、当ホールの制作担当と二期会ご担当者との話し合いで決めているので毎回特長が出ます。構成は3つに分かれており、最初は宮下さんのアリア「セビリアの理髪師」より “私は町のなんでも屋”でスタートし、3人の思い思いの歌曲が披露され、次がオペラ・アリア、最後は二重唱でした。3部構成の合間に3人で自己ではなく他己紹介をしたり、オペラ研修所時代の思い出や、久しぶりにアクリル板なしで歌える喜びについて話したり、曲目紹介をしたりと、トークにも大きな特徴が出ていました。宮下さんがユーモアのある方なので、おそらく彼の発案なのでしょう。宮下さんの思いが強すぎるあまり言う事を忘れてしまったのを川越さんがさりげなくフォローする場面もあり、少々ドタバタした雰囲気が微笑ましかったです。
思い入れのあるフランス歌曲を選曲し、「連隊の娘」では高音が伸びやかだった川越さん、團伊玖磨の歌曲と、思い切って「蝶々夫人」の“ある晴れた日に”を選び、バリエーション豊かに挑んだ鈴木さん、「ランメルモールのルチア」では高まる怒りと苦しみを歌い上げた宮下さん、それぞれが特徴的で良いコンサートになったと思います。アンコールは定番の“乾杯の歌”で締めくくり、お客様の満足度も上がったと思います。御三方の明るい未来が楽しみです。
主催公演の終演後は、大きなサイン帳にサインをして頂くのですが、まだサインを決めていなくて戸惑っている方もいらっしゃり、初々しかったです。

2022年10月18日(火) 第25回 二期会 ディーヴァ, ディーヴォ 14:00開演
[出演]
川越未晴(ソプラノ)
鈴木香栞(ソプラノ)
宮下嘉彦(バリトン)
朴令鈴(ピアノ)

[プログラム]
G.ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」より “私は町のなんでも屋” (宮下)
團伊玖磨(詞:大木実):藤の花 (鈴木)
F.プーランク:「ルイ・アラゴンの2つの詩」 (川越)
F.オブラドルス:「スペイン古典歌曲集」より 第2曲 “愛”、第6曲 “この柔らかな黒髪に” (宮下)
G.ドニゼッティ:歌劇「連隊の娘」より “身分も富も~フランスに栄光あれ” (川越)
G.ドニゼッティ:歌劇「ランメルモールのルチア」より “激しい苦しみ” (宮下)
G.プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」より “ある晴れた日に” (鈴木)
J.マスネ:歌劇「マノン」より “私ってそんなに素敵? ~私が女王のように街を歩くと” (川越)
G.ヴェルディ:歌劇「シモン・ボッカネグラ」より “話しておくれ、どうしてこんな寂しい場所に” (鈴木・宮下)
G.ドニゼッティ:歌劇「ランメルモールのルチア」より “こちらにおいで、ルチア” (川越・宮下)

[アンコール]
G.ヴェルディ:歌劇「椿姫」より “乾杯の歌” (川越・鈴木・宮下)

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