大萩康司 プロデュース
ギターと声 Vol.2 ~プラテーロとわたし 全曲~ | Guitar & Voice

2016年5月27日(金)

19:00開演(18:30開場) 【チケット完売】

全席指定4,000円(税込)

日本ギター界の次世代を担う大萩康司が、Hakuju Hallの豊潤な響きにもっとも適していると言われる「ギター」と「声」に焦点を当てたシリーズ<ギターと声>。毎回異なる「声」のゲストを迎え、ギターと声が織り成す多彩なアンサンブルをお届けします。
第2回目は、スペインの詩人・ヒメネスが故郷のアンダルシアを描いた珠玉の代表作「プラテーロとわたし」に、カステルヌオーヴォ=テデスコが曲をつけたギターと朗読のための名作を、日本初の日本語訳での全曲演奏でお届けいたします。
大萩康司の繊細かつ豊かなギター演奏、波多野睦美の滋味あふれる朗読と歌で紡ぐスペインの風景を、ギター界の巨匠、ジョン・ウィリアムスが「ギターにベストなホールだ」と絶賛したHakuju Hallの音響でお楽しみください。

[出演]

大萩康司(ギター)
波多野睦美(朗読・歌)

[プログラム]

カステルヌオーヴォ=テデスコ:プラテーロとわたし 全曲(日本語訳詞)
※日本語訳詞:波多野睦美 / 訳詞監修:濱田吾愛

[プロフィール]

大萩康司(ギター) Yasuji Ohagi, guitar

1978年宮崎県生まれ。萩原博、中野義久(フォレストヒル・ミュージックアカデミー)、福田進一に師事。パリのエコールノルマル音楽院、パリ国立高等音楽院(コンセルヴァトワール)で学ぶ。98年ハバナ国際ギター・コンクールにて第2位及び審査員特別賞(レオ・ブローウェル賞)を受賞。2002年から4年間イタリアのシエナで開かれるキジアーナ音楽院でオスカー・ギリアに師事し、4年連続最優秀ディプロマを取得。03年に行ったアメリカのワシントン・ケネディ・センターでの初公演は、インターネットにより全世界に同時配信された。05年にはキューバの音楽見本市「CUBADISCO 2005」にクラシック・ギタリストとしては日本人で初めて招聘され、キューバ国立交響楽団(セナイダ・ロメウ指揮)とアランフェス協奏曲を演奏し、大成功を収めた。06年にはコロンビアのボゴタで開催された「コンペンサール・ギターフェスティバル」に招聘されたほか、07年に韓国・ソウル公演、08年に台湾公演を行い、各地で熱狂的な支持を得た。10年にはハバナ(キューバ)、カナダ五都市(バンクーバー、トロント、モントリオール、ケベック、オタワ)、上海(中国)で行ったツアーも好評を博した。14年3月、ロシアで行われたモスクワ国際フェスティバル“ギター・ヴィルトゥオーゾ”に参加。リサイタルを行うと共にノーヴァヤ・ロシア国立交響楽団(フレディ・カデナ指揮)と武満徹「夢の縁へ」を共演したことは、ギタリストとしてのキャリアをいっそう上げることとなった。同年夏に、ポゴタ、台北での国際ギターフェスティバルにも参加するなど、世界各地に活躍の幅を広げている。00年に「11月のある日」でビクター・エンタテインメントからCDデビュー。12年にはアストル・ピアソラの没後20年を記念したアルバム「ASTOR PIAZZOLLA」を、13年にはこの年生誕100年のメモリアルイヤーになるベンジャミン・ブリテンの傑作「ノクターナル」と、同じく生誕450年になるジョン・ダウランドの楽曲を含むイギリスの音楽を集めた新譜「Nocturnal」をリリース。これまでに14枚のCD、2枚のDVDをリリースしている。第6回ホテルオークラ音楽賞、第18回出光音楽賞受賞。洗足学園音楽大学客員教授。


(C)松村秀雄

波多野睦美(朗読・歌) Mutsumi Hatano, narration & song

メゾ・ソプラノ歌手。英国ロンドンのトリニティ音楽大学声楽専攻科修了。シェイクスピア時代のイギリスのリュートソングでデビュー後、バッハ「マタイ受難曲」、ヘンデル「メサイア」などの宗教作品、オラトリオのソリストを含め、寺神戸亮、鈴木雅明、C.ホグウッド、有田正広指揮他のさまざまなバロックオーケストラと共演し、国内外で多くのコンサート、音楽祭に出演。モンテヴェルディ「ポッペアの戴冠」のオッターヴィア、パーセル「ダイドーとエネアス」のダイドー、モーツァルト「イドメネオ」のイダマンテ役など、オペラ出演でも深い表現力と存在感で注目される。また現代音楽の作曲家からの信頼が厚く、間宮芳生作品のアメリカでの世界初演、サイトウキネン武満徹メモリアル、水戸芸術館「高橋悠治の肖像」、サントリーホール「作曲家の個展2013権代敦彦」他に出演。NHK「ニューイヤーオペラコンサート」「ららら♪クラシック」「名曲アルバム」「BSクラシック倶楽部」「日本の叙情歌」「題名のない音楽会」等、放送番組にも多数出演。ジャズ、ポップスのアーティストからのオファーも多く、活動の幅は広い。CDでは「パーセル歌曲集/ソリチュード」「イタリア歌曲集」等、古楽器との共演による数多くの作品で高い評価を受ける。近年は高橋悠治との「ゆめのよる」「猫の歌」、栃尾克樹とのトリオによる「風ぐるま」などを発表。音楽評論誌「アルテス」にエッセイ「うたうからだ」を連載中。朗読、ナレーションの分野にも活動を拡げている。


(C)Toshiyuki Kohno

濱田吾愛(訳詩監修) Wakana Hamada, supervisor of translation

1964年川崎市生まれ。音楽評論家の父・滋郎の影響で幼いころからスペイン音楽に親しむ。立教大学文学部卒業後、音楽出版社勤務を経てフリーランスのライターとなる。2004年より東京芸術大学で非常勤講師としてスペイン音楽を講義。93年よりエンリケ坂井氏にカンテ・フラメンコを師事。スペインでも公演やシンポジウムに参加。10年8月『物語で読むフラメンコ入門~用語辞典A to Z』を出版。フラメンコのライブ活動のほか、11年カンテクラスを開設。14年、NISSEIオペラ『アイナダマール』にてスペイン語発音指導・作品解説を担当。

後援:スペイン大使館 Embajada de EspañaEmbajada de España en Japón + Cooperación Española

【チケット完売】

Hakuju Hallチケットセンター 電話:03-5478-8700

10:00~18:00
火~土(祝日・休館日を除く)

メッセージ

先生が、生徒たちに大判の紙を配る。子どもたちは思い思いの画材を手に、紙に書かれた文字に色をつけてゆく。やがて、色とりどりの「作品」ができあがる。けれど、紙の中央に大きく記された文言は同じ──『PLATERO Y YO』(プラテーロとわたし)。南スペインの、とある小学校での光景だ。子どもたちに日本の話をしてやってほしいと、その学校に勤める友人に頼まれた折のこと。日本という国がどこにあるかは知らない彼らだが、『プラテーロとわたし』は知っていた。その年は2006年、フアン・ラモン・ヒメネスがこの詩集でノーベル文学賞を受けてから、50年目に当たっていた。

その毛色から「プラテーロ」と名づけられた小さな銀色のロバとの、なんでもない日常。都会の喧騒に疲れた心を休めに、ふるさとの田舎町、アンダルシアのモゲールに戻った詩人にとって、その日々はまさに、たからものだった。まるで日記のように、「散文詩」という形で綴られた、短いみじかい物語。けれどそこに現れるのは、夢のように甘いだけの菓子ではない。カスタードクリームにほろ苦いカラメルをまぶしたクレマ・カタラナにも似て、20世紀初頭のアンダルシアの寒村の厳しい現実も、そこには否応なしに登場する。貧困、迫害、死……。一人と一頭は、その傍らを淡々と過ぎる。だが幸福な日々は、プラテーロの死という、あまりに切ない幕切れを迎える。まるで後年、ノーベル賞の受賞3日後に、愛する妻を喪うことになるヒメネス自身の運命を予見するかのように……。

版を重ねた『プラテーロとわたし』は、同世代の作曲家をも魅了した。その一人が、イタリア生まれのマリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコだ。音読したときに効果的な7編を選び作曲。その成功を受けてまた7曲……こうして全28曲により完成をみたのが、ギターと朗読とうたのための『プラテーロとわたし』だ。響きや韻を大切にするスペイン語の詩は、音読されてこそ生きる。一方でギターは、豊かなうたごころをもって詩の世界を描き出す。いま、大萩康司と波多野睦美が創りあげようとしているのは、まさにそんな世界だ。二人が取り組むのは、28編の全曲演奏。このところ「声」にひときわの関心を寄せる音の詩人・大萩康司と、言葉を慈しむことでは定評のある歌い手・波多野睦美。しかもこのたび、ヒメネスが想いをこめて綴った一語一語が、波多野自らの手で新たな命を吹き込まれる。語るようなギターと、奏でるような語りと歌と。その出逢いを楽しみに、会場に足を運びたい。詩人と小さな銀色のロバが愛した優しい花の香りが、するかもしれない。

濱田吾愛
(東京芸術大学講師、スペイン文化研究家)